久々の投稿になります。ご無沙汰しております。多忙で更新が滞っていました。
量子通信をご存知でしょうか?物理学に疎い私で申し訳ありません。量子力学を応用した通信で、原理的にこっそり傍受することが不可能なものだそうです。
中国が量子通信衛星の実験を進めているというニュースを昨年聞きましたが、どうやら日本でも先日成功したそうです。
日本も負けないでほしいですね。
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FT特約〉中国、量子通信の試験成功:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO18754650S7A710C1FF1000/
中国の都市が「ハッキング不可能な」通信ネットワークの試験に成功し、世界初の大規模な量子通信の実用化に期待が高まっている。
中国東部の山東省済南市政府は10日、フィナンシャル・タイムズ紙に対し、8月末までに同市の各部門でこのネットワークの使用を開始すると明らかにした。
プロジェクトに参加した済南量子技術研究院の周飛・副院長は「このネットワークを国防、金融などの分野で使用する計画で、試験版としてこれを広げ、うまくいけば中国全土や全世界で利用できるだろう」と語る。
今回の成功は、構築中の北京―上海間の量子ネットワークには追い風だ。同ネットワークでは、両都市の間に位置する済南を通信伝送用の都市間ハブとして利用する。
量子鍵配送(QKD)ネットワークは広く利用されている電子通信より安全だ。電話やインターネットケーブルなどの従来型チャンネルは送信者や受信者が気付かないうちに盗聴される可能性がある。一方、量子チャンネルが盗聴された場合は伝達される情報が変化してしまう。こうした情報の乱れで異常があったことを利用者に警告する。
北京―上海ネットワークは延長2000キロメートル以上におよぶ世界最長の地上ベースの量子通信チャンネルになる予定で、利用するのは両都市の金融ハブにある商業銀行や政府機関だ。
ネットワークが全面確立すれば、決済などの金融サービスの安全性向上に加え、他国政府が中国の通信を傍受することはほぼ不可能となる。
中国の政策立案者は、国内でのサイバースペースの保護に関心を寄せてきており、政府は量子研究に支援を注いだ。
米ニューヨーク大学上海校の量子物理学者、ティム・バーンズ氏は「他国では量子研究はコストがかかり過ぎるとされるだろうが、中国がこんなにも速く研究プロジェクトを進めたのは素晴らしい」と話す。
中国は先月、世界初の量子通信衛星から量子通信チャンネルを通じて地球にメッセージを送ることにも成功した。
(11日付)=英フィナンシャル・タイムズ特約
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NICT、超小型衛星で量子通信の実証実験に成功 (1/2)
http://eetimes.jp/ee/spv/1707/12/news030.html
情報通信研究機構(NICT)は、超小型衛星による量子通信の実証実験に世界で初めて成功した。実験に使用した衛星は重さ50kgで大きさは50cm角と、衛星量子通信用途では最も軽量かつ小型だという。
[馬本隆綱,EE Times Japan]
「時刻同期」や「偏光軸整合」の技術を確立
SOCRATESとSOTAのイメージ図 出典:情報通信研究機構(NICT)
SOCRATES(Space Optical Communications Research Advanced Technology Satellite)は、エイ・イー・エスが開発した衛星。この中にNICTが開発した小型光通信機器(SOTA)が搭載されている。SOCRATESは2014年5月に高度600kmの太陽同期軌道に投入された。その後、この衛星を用いて波長1.5μmのレーザーで光通信の実証実験に成功。2016年より量子通信の実証実験を行ってきた。
今回は、SOCRATESに搭載されたSOTAから、10Mビット/秒の速度で光信号を地上局へ送信した。東京・小金井に設置されたNICT光地上局で、受信した光子信号を復元し、高度600kmを秒速7kmで高速移動する衛星との量子通信を実現した。

SOCRATESと光地上局の概要 出典:NICT
地上局で受信した信号には、パルス当たり平均0.1光子という微弱なエネルギーしか含まれていないという。NICTは今回、この微弱な信号を低雑音で検出できる量子受信機を開発。さらに、微弱な光子検出信号から直接、衛星と地上局の時刻ずれを同期させる技術や、大気伝搬中に変化した光子の偏光軸を地上局で補正する技術も開発した。これらの技術開発により、超小型衛星による量子通信に世界で初めて成功した。量子暗号の基盤技術にもなるという。

NICT光地上局の概要写真 出典:NICT
時刻同期や偏光軸整合の技術を駆使した量子通信は、中国などでも行われているが、これには重さが600kgの大型衛星が用いられている。これに対してNICTは、重さが50kgと従来の10分の1以下という小型衛星で実現した。これによって、多数の人工衛星を協調して動作させる「衛星コンステレーション」などにも容易に対応することができる。
時刻同期と量子通信を1つのレーザー光源で
NICTが開発した技術は、時刻同期と量子通信を1つのレーザー光源のみで行う。量子通信信号の中に長さ約32kビットの特殊なパターン(同期用系列)を埋め込んで送信する。地上局では受信した光子信号の系列から直接、時刻同期と偏光軸整合を行うことができる。これに対して中国の方法は、量子通信用レーザーとは別に、同期専用の短パルスレーザーを衛星に組み込んで地上局との時刻同期を実現しているという。
NICTは2016年8月5日深夜に実験を行った。この時、SOCRATESはNICT光地上局付近の太平洋上空を南から北へ飛行。日本時間午後10時59分41秒にはNICT光地上局まで744kmという距離まで接近した。この時刻付近で2分15秒間にわたり量子通信を行った。

左はSOCRATESの軌道とNICT光地上局の関係、中央は軌道情報から予測されるドップラーシフトの理論値、右は実際に観測されたドップラーシフトのデータ 出典:NICT
時刻同期を確立した後に、光子信号を「0」「1」のビット情報に復元する。ところが、地上局で復元されたビット系列とSOTAから送信されたビット系列との間ではビット位置のずれが残る。そこで、約32kビットの同期用系列を用いた相関解析により、このずれを補正する。相関ピークは29656番目のビット位置にあり、地上局ではこの位置を原点とみなし、ビット系列の復号を行った。

左は同期用系列を用いた相関解析の結果、右は29656番目の相関ピーク付近の拡大図 出典:NICT
実際に地上局で得られた光子検出信号系列のヒストグラムから、地上局で光子が検出された時刻に、SOTAの送信機が必ず光パルスを出射していることが分かる。このことが、光子検出信号から正確にビット系列の同期が確立できていることを示しているという。

SOTAからの同期用系列と地上局で受信した光子検出信号系列のヒストグラム 出典:NICT
さらに、衛星と地上局の間で行う偏光軸の整合も重要となる。この時の識別性能は、ビット誤り率で3.7%まで下げられることを確認している。

偏光軸整合の実験結果 出典:NICT
今回の研究成果は、従来に比べてより安価な衛星を用いて量子通信を実現できる可能性を示した。さらに、探査衛星に対する深宇宙光通信の高速化にもつながる技術だとみられている。














