何で飛行機の羽根は一般的に上へ反っていて、後ろへ下がっていると思います。
これを上反」角、後退角といいます。以前に主翼の翼端版に付いて書きましたが、もっと根本的な話し。
飛行している姿をまん前から見ましょう。気流やその他で飛行機はすぐに傾く。軸方向。ローリングと言います。
で、羽根に角度を付けておいてそれぞれ上に向けておく。と、ロールした下側の羽根は水平方向に面積が増す。つまりより揚力を生む。一方上側の羽根は重力方向に「立つ」事でいっそう対重力に対して揚力を失う。
で、自分でバランスを取るわけです。今で言う機体自身が持つフェイルセーフの考えね。
じゃ、後退角は?
これも同じ。今度は機体を上から見てください。首を振る運動。ヨー方向ね。
上から見て機体が右に傾いたら、左の羽の空気に対する辺の長さが変わる。長くなるのです。一方右の羽根は傾くほど益々小さくなっていくのです。ので、空気の抵抗で機体は自然に左へ向き直ってくる。
しごく安全に機体を設計すれば大きな上反角、大きな後退角が安定した飛行には必要です。ジャ無ければ人が常時大変な操縦を強いられるわけです。
反面、勿論デメリットもあります。操舵に対して機体の反応が鈍くなるのです。
最近は余り目にしませんが、下反角の付いた(ロッキードf104みたいに)飛行機や前進角の付いた戦闘機も沢山有りました。それらは戦闘という特殊な目的で作られた飛行機で、つまり、「切った」以上に過敏に機体が反応する。敏捷性(生き残るため)を求められる空中戦でのみ必要な性能です。大前提にEGの極端なオーバーパワーが必要です。
乗りにくいべなぁ・・・・
オラの友達にアメリカで有名なアクロバティックプレーン乗りがいます。
たまに日本でもパイロンレース深夜に放送しますが、基本はほぼ上反角ゼロ、後退角ゼロの機体です。とにかく敏捷である事が彼らの闘いの場。パイロットの腕勝負です。
ただし、あくまでもレシプロEG機でありますから、圧倒的なEGパワーは期待できない。だから前進角、下反角の機体は未だにありませんね。多分人間が操縦する事のできる限界の飛行機なんだと思います。
機内のカメラ見ると、顔は殆どG(グラビティ重力加速度の事ね、横方向の慣性力に対しても同じ尺度で使う。)でゆがんで。昨日K1でブン殴られたセームシュルトのよう。
12G掛かるそうです。信じられん!オラなんかカートの3Gでクビが立たんかったのに。良くぞ意識をたもっていられるこった。
そこで起るのがブラックアウト。G「慣性力」で脳内の血液が後頭部へ移動しちゃう。脳内酸欠で目の前真っ暗。さもありナン。そんなG、人類かって経験した事が無いもの。
国産の小型飛行機。富士重工のエアロスバルとかセスナ社製の機体とか、パニくれば操縦桿をうっ放しちゃって暫くすれば機体が勝手に事も無かったように水平飛行に戻ると聞いたことが有ります。上反角と後退翼のお陰です。フェイルセーフです。
以前、そのアクロバティクプレーン乗りに聞いたことがある。
敏捷性を求めて造られている機体は、操縦桿放しても決して水平には戻らないそうな。X,Y,Z軸それぞれに立て直して行かなければいけないそうな・・・・・例えばきりもみ飛行をしていて、ローリング方向をまずエルロンで潰して、次にヨー方向をラダーで真っ直ぐにして、最後にピッチング方向をエレベーターで水平にして・・・・勿論3ディメンション、同時にやるのです、頭がこんがらがりそうです。
猫死我生。