半袖でも十分快適な気候、かつて住んでいた経験からも、
5月と10月は東京が一番快適な季節です。
前編で記したようにロブションは予約が取れませんでしたが、
ここはすかさず「タイユバン・ロブション」初代料理長、
河野さんのお店「モナリザ」にシフト。
なかなか来たいと思って来れなかったレストランですが、
去年とあるセミナーで河野さんとお話させていただく機会を得、
縁が一気に縮まった感じです。
前日の予約という事で席はサロン側でしたが、爽やかな陽光が
カーテンごしに降り注ぎ、とてもいい感じです。
私はグラスでシャンパンを、他の二人はシャンパンカクテルを
いただき、料理をオーダーし、期待は徐々に高まります。

アミューズはプティポワ(グリーンピース)のムースと
サワークリームのカプチーノ仕立て。
美味いです。 爽やかです。 コクも感じます。
冷たい前菜はカニや野菜のクリームを詰めたトマト。

トマトが甘い! きっちり真円に敷かれたソースの縁の
黄色いソースのドットがロブションしてます。
温かい前菜はクリスタル海老のラヴィオリと蕪に挟まれた
フォワグラのソテー。

海老の旨みも濃く、ソースも過不足なく、美味いです。
魚料理は金目鯛のパートブリック包み焼き、ペルノー風味の
ソースで。

ペルノーが主張しすぎず、金目鯛の柔らかな風味、ブリックの
焼き目と渾然一体となって一口含むたびに口から鼻へ香気が
抜けていきます。 ああ、ムハッ。
肉料理は霧島高原豚の炭火焼、セップ茸のソース。

ジューシーで最大限に火の通し方に集中した豚の柔らかさと
味わい、それをフレンチらしくフェミニンな方向にまとめる
ソースとガルニチュール(付け合せ)とのバランス、素晴しいの
一言に尽きます。
その頃には私、ワインも4杯目ぐらいに突入しかなりいい気分、
残念ながらデセール以降の記述は控えさせていただきます。
でも、こちらが料理人だと見切ったメートルの飛永氏、最後に
一人二種類ずつのソルベを持ってきて、「素材をお当てください」
と来ましたね。 リナと中村は当てたのですが、私に割り当て
られたかすかにベージュ色のソルベは最後まで当てられず、
答えを聞いてどっと疲れました。
最初は堅いかなーと思っていた飛永さんのサービスも結局楽しく、
本当に二時間近く、心から楽しみ、味わい、堪能できました。
震災からほぼ2ヶ月、津波ほど過酷な被害は直接受けなかったに
しても、少なからず人生の予定というものが大きく狂い、
間接的な被害は内陸に住む私たちにも大きな影響をもたらしました。
私は個人的に、料理人としての自分を全否定される出来事もあったり、
とにかくゴールデンウィーク近くに披露宴が再開するまでは、
暗く重い日々が続きました。
でも、4人掛けのテーブルで、隣にリナがいて、向かいに中村が座って、
本当に味覚と弾む会話で感動を共有できた事、それらの疲れを全て
吹き飛ばす素晴しい食事になりました。
そして、オレは間違ってなかったと、改めて確認できましたし。
本当に美味しい料理って、とてつもないパワーを秘めるものだと
確信できました。
会えなかったけど河野シェフ、駒沢通りまで見送ってくださった飛永さん、
本当に感謝します。
その私が当てられなかったソルベの素材、フォワグラでしたとさ(笑)。