『薬屋の秘密』 サラ・ペナー | 固ゆで卵で行こう!

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時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

 

 

 

夫の不義を知ったキャロラインは、予定していた結婚記念日の旅行を、一人でロンドンを訪れる。
テムズ河畔でたまたま参加した、泥ひばりと呼ばれる泥に埋もれたものを探すツアーにて、古い瓶を見つける。
結婚前、大学で歴史学を学びオックスフォードに進学したいと願っていた事を思い出したキャロラインはその古びた瓶について調べ始めると、18世紀に謎の薬屋の毒物による連続殺人事件が起きていた事を知る…。



女性を守るためにだけに、殺したい男性がいる女性たちに毒を売る、路地裏でひっそりと営む薬屋のネッラの18世紀のロンドン。

夫の不貞を知り思い悩む中で訪れたロンドンにて、古びた瓶を拾った事で、薬屋が犯した連続殺人について調べ始める現代のキャロライン。

200年の時を越えて描かれる、虐げられ傷ついた女性たちに寄り添う物語です。

薬屋の母の元で育ったネッラは、かつて自身が傷ついた過去から、薬屋の看板の裏で、女性限定に毒の販売を。
それは、男性から女性を守るためであり、毒を飲ませる相手は男性のみとのルールを厳しく設け、孤独に暮らしています。

そんなネッラの元に、上流階級の使いとして依頼を持ち込んだイライザという少女の存在がネッラの生活を、良くも悪くも変える事になります。

イライザの純真な優しさが物語の中で最大の薬となって誘ってくれ、長年の無理が祟って体を壊しながらも孤独に暮らしてきたネッラの幸せを願って、思わず没頭してしまいました。

二人のどこか微笑ましい姿には、読みながらも笑みが零れそうになりましたが、ある依頼が二人の運命を変える事に。

この辺り、ハラハラとさせる展開で窮地に陥った二人が助かりますようにと祈るような気持ちで見届けましたが、このような事態を持ち込んだ依頼人も含め、それぞれが相手を思いやっている様子、助けようとする様子に胸が熱くなりました。


一方、現代パートで夫の不貞を知って傷ついたキャロラインも、薬屋による連続殺人事件の調査だけでなく、彼女自身の救いとなるような助けをある女性から得る様子が描かれており、こちらのパートもまた、キャロラインの心に思わず寄り添い、一緒に傷つき、悩み、そして新たな一歩を踏み出そうとする彼女を応援したくなります。


少々都合良すぎかなと思わないでも無い部分もありますが、希望や願い、自己再生や、女性同士の絆、それらが最後まで良心的に描かれていて、なんだか温かい気持ちになれました。