『塔の下』 五條瑛 | 固ゆで卵で行こう!

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塔の下 塔の下
五條 瑛

光文社 2012-08-18
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ある事情によりヤクザの使いっぱしりをするようになった元大学准教授の鏑木を主人公とした連作短編集で、『天神のとなり』の続編です。


今回も白樺からの命令に理屈をこねたり屁理屈を言ったりと抵抗しながらもしっかり仕事をこなしていきます。


しかしながら物語の芯となるのは鏑木を慕う青年、京二の父親。

京二の幼い頃に借金をこしらえ姿を消した父親から京二の元に連絡が。

定職に就かない京二が、実は父親を探す為だったのではないかと感じた鏑木は、京二には黙って父親を探し始めるのですが、そこに犯罪の匂いが。


もともと証券マンだったという京二の父親が考えだし実行したその犯罪はなかなかにあざやかなもの。

しかしながら、そこにヤクザや海外マフィア、それに悪徳警官も加わり京二の父親の身に危険が迫っている事に鏑木は気付くのだけれど・・・。


タイトルにある「塔」はスカイツリーを示唆しているようで、新しく綺麗なものが作られてその周辺から古くて醜く汚いものは淘汰されてきているのかも。

しかし、その塔の下では人間が元来持っているのかもしれない闇というか影の部分が確かにあって、綺麗事だけでは人の世界は回らず、そういった汚泥の中や裏社会の殺伐した世界でしか生きられない人間の姿がさらりと描かれています。


さて、このシリーズですが更なる続編はあるのでしょうか。