パリ2日目

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 「ヨシノリ」という日本人レストランを予約しておいてくれた。私達はパリの路線図と観光本の付属品のマップを片手に持ち、目的地を探すがほとんどの人はスマホに情報を取り込み、目的地と自分の進んでいる方向をスマホで確認し、スマホの画面を見ながら街を歩く。観光本の情報をスマホに取り込むと、迷うことなくスムーズに行けて便利だ。だが、そこに載っていない店は一度入った時にきちんと目印をつけるか写真に撮るかしないと行けない時がある。おいしそうなお総菜屋さんを見つけたが、先を急いで戻った(と思った時には)わからなくなってしまった。相当探してウロウロ長い散歩をしたが見つけられなかった。小さな店だが、外国のグルメツアーらしい7,8名のガイド付き団体や近所のホテルに泊まっているであろう中国人二人組がサンダル姿で駆け込んできた。残念。

 

 日本のテレビ番組でも2度程見たシャポー(帽子)の店に行った。11時開店だが10:50にはすでに客が一人入っていた。頭のサイズを測ってもらいデザインを決め、リボンと小さな飾りリボンの色を決める。午後の3時には出来上がるという。紺色の帽子。リボンは水色。飾りリボンはピンクを選んだ。「相生マルシェ」に出店してくれるTさんの帽子の方が素敵かも、と思いつつ、雰囲気に流されて購入する。断る勇気に欠けている。旅は人の心を大きくする。そういや、ラファイエットで隣国の人が小学校高学年らしい娘にバーバリーのリュックを背負わせ、「ええやん、ええやん、それにしとき(雰囲気で日本語訳してみた)」と母親が言っている。いやいやあかんやろ。バーバリーのリュックは素敵だが、お嬢さんにはまだまだはやいですよ、おかあさん。ネット検索すると23万越え。違うことにお金を使ってあげて。いらんお世話やね。

 

 スマホで「ヨシノリ」に迷うことなくたどり着いたのが12時10分前。案の定入れてもらえず、近くをウロウロ。「星の王子さま」の店があり、かわいいボーリングセットを買う。お土産だ。

 

  「ヨシノリ」はとてもおいしく、特に野菜が美味しかった。イタリアもフランスも本当に野菜がおいしい。牛肉に付いてきたねぎに根っこが付いており、意外な発見をする。根がおいしい。日本に帰って試してみよう。昨日食べたパスタもズッキーニを薄くスライスしたものがたっぷり入っていた。いつも、5㎜くらいの厚みに切り、オリーブオイルで焼くかピカタか天ぷらにしていたので試してみよう。

 

 
 日本人の客が私たちを入れて3組。フランス人のビジネスミーティングをしている人たちが6人。隣の人と話をした。男性はフランスに来て30年。どうやら画家か大学の先生。先月はモロッコに行っていたという。女性の方はフランスで結婚をして暮らしている。二人は日本の大学の同級生か。自分たちと友人の近況報告をしている。二人とも料理を褒め、フランス人と日本人はどちらが豊かな食生活を送っているかと話していた。聞くともなしに聞こえてくるのだ。私達には弾む会話がない。「道路をはさんだ前の店は混んでいる。」「地下にも席があった。」という会話くらいだろうか。私達は旅行客なので普段のフランス人の食生活はわからないけれど、農業国であるフランス。農業が盛んであれば当然牛や豚や羊、鳥もいる。日本も農業、農家はいびつな形で大切にされているが「豊かな食生活」といえるのかどうかわからない。もう、10年も前になるのだろうかOJTで認知症研修の際に一人暮らし、老老介護の人たちを中心に利用者の食生活についてのアンケートをとった。4,5人の人が朝食はインスタントコーヒーとパン。昼食は水とパンと言う人がいた。昼は別の物でも朝はコーヒーとパンだけと言う人は7,8人いた。主婦の昼ごはんはどうだろうか。インスタントラーメンやカップ麺だけ。お茶漬け、お湯漬けに佃煮という人もいるだろう。自分だけのために昼からきちんと食事を用意する人はいったい日本人の何割いるのだろうか。

 

 美味しいランチを堪能し、あの美味しそうなお総菜屋さんを探すも見つからずホテルに帰る。

 

 朝コーヒーカップが欠けていたのでポストイットでメモをつけていたのだが、替わっていなかった。書いたメモはなかったが、英語で書いたのでだめだったのかなと思っていたら、掃除のチェックに男性スタッフが来てくれたので、シャワー室に掃除用洗剤を忘れていることとコップを替えてほしいこと、サービスのコーヒーがないのでほしいことを伝える。これで明日の朝は美味しいコーヒーが部屋でいただける。トイレは座るたびに温かい便座が恋しい。

 

 さぁ、モンマルトルに行こう。つれあいは妻の行きたい最後の場所に行くというノルマを達成できるのでほっとするのだ。おっと、帽子を取りに行ってお総菜屋さんを探さねば。

 

 モンマルトルは少し治安に不安ありとガイドブックに載っている。以前モンマルトルの丘に行った時にはそう感じなかった。そういや、メトロに乗る女性のバッグはチャックがしまっているか口がわからないように垂れている。口が開いているバッグを持っている人には出くわさない。私がリュックを選ぶポイントは背中側にもポケットがあるかどうかだ。目的の生地屋の1階には無地やレースや美しいシルクがたくさん並ぶ。去年カンボジアで買った8mのシルクも手付かずなので、美しい柄に見とれ、気持ちのいいシルクを手に取りため息をつきつつ、2階に上がる。ネットでみたような独特なボタンを探す。ここでどうやら30分。つれあいは辛抱強く待つ。時々見えにくいボタンの値段を何ユーロか尋ねたら答えてくれる。ここでもつれあいは決して言わない。「そんなんこうてどうするん?」どうするわけでもない。陶器の食器はもう買わない。2度の地震で決めたのだ。美しいボタンを時々並べて他の人はどんな服にこのボタンを合わせたんだろうとか、これだったらこう使えるんじゃないかな、とボタン以外の使い方に思いをめぐらし、想像を膨らませるのが楽しいのだ。カトリーヌのボタンの使い方もとてもおしゃれだ。

 

 
 いったんホテルに戻りトイレ休憩。10分ほど休みシャポーをもらいにメトロに乗る。まるで、小学校からずっと刷り込まれているような時間割だ。一つの目的が終わるとホテルに戻り10分ほど休憩し、次の行動に移る。

 

 オーダーした帽子は素敵だが120€。「相生マルシェ」に出店してくれるTさんの帽子の方が日本人に合い4500円と安い。あの4500円の帽子がジャストフィットしていたらこんな無駄遣いをせずにすんだのにと、つれあいには言えず心の中で思う。3度目あのお総菜屋さんを探すが見つからなかった。二人の土地勘もたいしたことはない。出会いは別れで、逃した魚は大きく、隣の芝は美しい緑なのだ。5時頃ホテルに帰るためにメトロに乗った。いつになく混んでいる。そうだ。今日はサッカーのフランス対ベルギー戦なのだ。メトロも道路も浮足立っている。途中、スーパーで干したあんずを土産に買いホテルに帰り、ラファイエットに買い出しに出かける。ケーキのレジの店員が日本人で「今日は大変やね」と言うと「10時過ぎまでは大丈夫ですけれど、試合が終わってからは外に出ない方がいいですよ。」とアドバイス。メトロで2駅。混雑の息苦しさを我慢してホテルにたどり着く。シャワーを浴び、軽い夕食とケーキを食べ、私たちもサッカー観戦をした。ホテルの近所のバーやカフェも道路にまで人があふれ、クラクションが鳴る。ナイスプレーの度にウオーという音が響く。1点を死守した後は道路に人があふれ車はクラクションを鳴らし、バスには人がぐるりと取り囲み窓を皆が両手でどんどんたたく。ホテルの3階から見ているとアマガエルの手が並んでいるように見えた。まるで優勝したかのようだ。この騒ぎを子守歌代わりに眠りについた。毎朝時差ボケで3時ごろ目覚めていたが翌朝は4時半まで眠れた。塩味の効いたパンやバナナ、トマトとエスプレッソで朝食を摂る。8時ごろから1時間ほど散歩する。オペラまで歩きぐるっと回る。昨日の名残かいつもゴミいっぱいのパリの街がさらにゴミだらけになっていた。そう、パリがゴミだらけ。たばこの吸い殻やメトロのチケット(日本のように出るときはチケットが要らないので、その辺に捨てられているのだ)ガムの吐き出した黒い丸い跡。シンガポールはきれかったなぁ。ただ、歩きガムも禁止の徹底さと、常に掃除されている印象が強かった。フランスも掃除はされているのだが、掃除の仕方が日本やシンガポールとは違うのだ。そして、ごみを出す人のマナー。掃除の人の労働のためにごみを出しているのだろうか?初めてシャンゼリゼ通りを歩いた時に驚いた。「おーシャンゼリゼ~」などと舞ってはいられない。たばこの吸い殻が側溝に幾重にも重なり、まるでゴミ箱の中のたばこの吸い殻をまき散らしたかと思うほどの状態なのだ。あれからシャンゼリゼ通りは行っていない。今もあのフレーズが頭の中で鳴っている。パリっ子にとってはたばこの吸い殻の山も含めてのシャンゼリゼ通りだろうが、片道11時間半もかけて行く一日本人観光客にとってあの楽し気なフレーズの足元のたばこの吸い殻なんて蛇足そのものだ。