僕の上司は頭がおかしい。
約束を守らない。
人に迷惑をかけて場を乱す事に、「自分」という存在意義を見出している。
ワザと遅刻したり大きな仕事を急に依頼して、職場や取引先を混乱させて迷惑をかける。
「混乱を起こした自分」を「第一線で活躍している自分」に歪めて解釈し、自分に酔っている。
かけた迷惑は「仕事によるもの」と都合良く解釈し、「仕方がなかった」と割り切っている。
結論や計画が、よく途中で変わる。
その日の気分や周りの環境(雨とか寒いとか眠いとか)で意見や計画を変える。
100の仕事が60になり、思い悩んで40になり、
時間が足らずに大混乱になって、結局10の成果しか残らない。
あるいは、午前中は東に向けて歩いていたのに、午後になって「やっぱり西へ行こう」と目的地を変える。
理由は「なんとなく」
「変わる前に素早く仕事を済ませる」スピードが自分の身を助ける。
注意したいのは、早く仕事を提出し過ぎると「じゃあ、コレもやって」と追加で仕事を依頼する事がよくある事だ。
約束を守らないから、仕事内容を変更・追加注文する事に、ためらいがない。
名前を呼ばない。
部下は「お前」で呼び、上司は名前で呼ぶ。
もちろん僕は誰に限らず「○○さん」と呼んでいる。上司は「○○部長」だ。
上司と部下の自覚を「お前」という呼び方ではっきりさせるのが本人の目論みのようだけれど、
僕には憎しみと反感・嫌悪感しか沸かない。
まず否定から入る。
どんな話をしても
「いやそれは」「いやだから」「っていうか」「要するに」「なんていうか」「そういう意味で言うと」等、
人の意見を聞かない。話を途中で遮って、被せる時もある。
ちゃぶ台をひっくり返して自分を中心に話を持って行くので、会話が成立しない。
「お前もそう思うだろ?」と意見を求められて「○○だと思います」と答えても、
「いやそうじゃない。これは…」と否定されて説教が始まる。
それなら最初から意見を求めないで欲しいし、真面目に答えることが馬鹿馬鹿しくなってくる。
最近は、口を開くのも辛い。
異常に人を頼る。
僕や周りの人に「コレどうやるんだっけ」「お前手伝って」と、よく声をかける。
お手洗いへ席を立つ時「コレもついでに」と、ペットボトルのゴミを渡す。
デスクに置いてある誰かのペンや電卓を勝手に使って、どこかへ置きっ放しにする。
僕も含めて周りのみんなは、目の付かない机の奥にペンやハサミ・ホッチキス等を仕舞っている。
お昼時。社内弁当を頼んだ人は、食堂へお弁当を受け取りに行く。
「俺の弁当も一緒に持ってきて」と、もう一人の上司によく弁当を頼む。
持ってきてもらっても「お前さあ。腹へってんだから、早くしろよ」と、
礼も言わず文句で返す事も多い。
見栄っ張りで、異常に対抗心をもつ。
F市へ、僕と上司の二人で出張に行った時だ。
F市まで電車へ行く事も十分できた。周りの皆も、当然電車で行くと思っていた。
けれど「俺のドライブテクニックをお前に見せてやる」と、社用車を使って車で行く事になった。
ガソリン代・高速代も含めれば、電車の方がはるかに交通費が安いし、移動時間も短い。何より安全だ。
みんなが首を傾げていたけれど、異論を唱える人はいなかった。
上司に何を言ったって、どうせ聞く耳を持たないと、みんな呆れていたからだ。
こんな人が運転する車だから、
事故に巻き込まれて死ぬかもしれないと、僕は本気で死を覚悟した。
予想通り上司の運転はとても荒く、道中、染みが出るほど脂汗で背中がベットリだった。
高速道路で他の車に抜かれる度に「あっ!クソ」っとアクセルをグイグイ踏んでスピードを競い、
「急いでいるから」と窓から手を挙げて、車の列に何度も割り込んだ。
僕は助手席に座っていたんだけど、相手の運転手が鋭い眼つきでこちらを睨むのを何度も見た。
大きく口を開けて、こちらに向かって何か叫んでいる運転手もいた。
「はっ!?」とか「バカじゃねーの!?」とか罵声の類を叫んでいたんだと思う。それくらい愚かな運転だった。
僕は一緒に乗っていて、とても恥ずかしかった。
片道2時間45分。往復5時間30分
休む事無く、上司は僕に話しかけた。
自分の兄妹達の話から、買った車の話。
若かった頃やった危険なことや、家族のこと。子供のこと。
会社のこと・上司のこと・最近の若者のこと。
ほとんどは自慢話・愚痴・説教・悪口・不平不満・後悔・妬み・恨みだった。
「そうですか」「大変ですね」「○○だったんですね」「お疲れ様です」
僕は当たり障りの無い言葉を順に繰り出して、上司の話を右から左へ聞き流した。
少しでもまともに受け取ると、心の底にベットリ居座って、寝つきが悪くなりそうだった。
それくらいヤな話だった。
一秒でも早く目的地に着くことを願った。
途中。
走行中の車から勢い良く転がり出て、このまま遠くへ逃げたいと思った。
走行中に外へ出るのは危険だと、無論分っている。
けれど、自然にドアノブへ手が伸びた。
偶然じゃないと今なら思える。
一緒の空間にいたくなかった。
声を聞きたくなかった。
何も見たくなかった。
これ以上何もしたくなかった。
この関り合いが消えるなら、自ら消えても悔いは無かった。
喜んで僕から消えよう。
無事故で生還を望んでいた昨日なのに、今は自ら消えて無になりたいと願う僕は、
もしかしたら頭がおかしい上司に関わって、少しずつ頭がおかしくなってきた、のかもしれなかった。
僕の上司は頭がおかしい。
このブログは、そんな上司の下で働く僕が、あれこれ感じた事をしたためるブログです。