子宮内膜症があると着床の妨げになるか? | NPO法人 umi ~卵子の老化を考える会~

ウィメンズクリニック大泉学園ニュースペーパーより


子宮内膜症があると着床の妨げになるか?は、なるという研究もあれば、軽い内膜症でも重い内膜症でも着床の妨げになるという研究もあります。そのあたりを少し考えていきましょう。


卵子提供ができる国の研究では、子宮内膜症があることが分かっている方からの提供してもらった卵子を使って胚移植をおこなった場合には着床率が低くなることから、子宮内膜症は卵子の質を低下させるので育つ胚の質も低くなるのではないかと考えられています。一方、子宮内膜症があると「着床の扉」が開いている時期の内膜が障害されて着床の妨げになるのではないかとの研究もあります。もう少し詳しい研究によると子宮内膜症があるとHOXA10、glycodelinA(GdA),ostopontin(OPN),lysophosphatidic acid receptor3(LPA3)の発現が障害されて子宮内膜が胚を受け入れにくくなるのではないかと考えられています。

もうひとつの研究では、子宮内膜症があると着床の時期に子宮内膜においてエストロゲンのレセプターがプロゲステロンのレセプターよりも強く発現してしまい、それが着床の妨げになっていると説明しています。着床成立には、プロゲステロンエストロゲンのバランスが必要なのに子宮内膜症があるとバランスが逆転してプロゲステロンエストロゲンになってしまうので着床しにくくなると考えられます。