“新しい世界を創作=新しい文字を創作”
どうも遊木です。
先日は久しぶりにミーティングの議長を受け持ったので、扱った内容を紹介します。
文字の創作
~入門編~
□コンセプト
“新しい世界を創作する=新しい文字を創作する”といっても過言ではない!
まずは現実に存在する文字を学びつつ、その“いつか”に備えて「発想のきっかけ」を作ろう。
物語を創作する者にとって、その世界の「言語や文字」とは無関係ではいられません。
登場人物がどこの国の出身なのか、何の言語を操るのか。
さらにファンタジーなら、その世界の文字は、言語体系は、という点まで考えることもあります。
そこまでいかくても、例えば『ONE PIECE』なら、古代文字が刻まれたポーネグリフが作中で非常に重要な役割を持っています。
『進撃の巨人』なら、作中の「文字」が読者を楽しませる一要素になっています。(私が漫画を購入して真っ先にやったのは、表紙裏の解読でした)
創作を続けていれば、いつか自分たちも新しい文字や言葉、もしくは暗号をつくる機会があるかもしれない。
しかし、一朝一夕に説得力のある文字は創れません。
そもそも言語は、ある日突然ぽっと生まれるわけではなく、長い歴史を経て文化や風土、時代ごとの価値観など様々なものに研磨されて、現状へと至ります。
“文字を創る”ということは、そういう文字のバックボーンまで合わせて“創る”ということです。
今回のミーティングは「文字の創作」と言いつつ、その前段階、つまり「まずは文字を知ろう」というコンセプトで進行しました。
“いつか”に備えて「発想のきっかけ」を作ることが目的ですね。
故に「入門編」です。
□内容
〇象形文字「甲骨文字」「ヒエログリフ」
・実際に古代の象形文字を読む。
・「甲骨文字→漢字」「ヒエログリフ→アルファベット」の変化について学ぶ。
・「表意文字」(漢字)と「表音文字」(ラテン文字、ひらがな etc)について知る。
・「ヒエログリフ」の表意性は歴史の中で徐々に消えたが、何故「甲骨文字~漢字」には残った のか。
・日本語は「表意文字+表音文字」のハイブリットという、世界から見ても珍しい言語。
「文字を知る」と言っても、その量は膨大です。
よって今回は、特に「象形文字」に注目しました。
理由は、言語の起源にはほぼ全て「象形文字」(ものの形をかたどって描くという発想)が存在すること、直感的な面白さと創作(特にファンタジー)との相性の良さ、そして私がQuizKnockさんの動画で「トンバ文字」(トンパ文字)を知って衝撃を受けたからです。
トンバ文字は、中国雲南省北部に住むナシ族に伝わる象形文字で、世界で唯一の「生きた象形文字」とされています。
2003年、ユネスコが主催する世界記録遺産にも登録されました。
ということで、太古の象形文字に触れた後は、現在の象形文字に注目。
〇「トンバ文字」を知ろう
・中国雲南省に住むナシ族(人口約32万人)が使用する文字。
・世界で唯一現存している「生きた象形文字」と言われる。
・ナシ族の人が一般的に使うものではなく、儀式や経典に使用される宗教的文字。
・漢字の祖先である甲骨文字と、歴史的つながりはない。
・象形文字を中心に作られているが、指事文字、会意文字、形声文字もある。
☆実際に読んでみよう☆
・カルタ風のゲームを交えつつ、実際にトンバ文字を読んでみる。
・「経典」の一部も紹介。
さて、不思議に思った方もいるかもしれません。
「日本語の“山”や“日”も象形文字じゃね?」と。
当然、現役で使用されていますが、これらと「生きた象形文字」との違いは何でしょう。
確かに漢字の「山」や「日」も象形文字とされます。
しかし長い歴史の中で形が抽象化・定型化され、もはや「絵」ではなく「記号」として使われるようになりました。
つまり、象形的な起源をもつ表語文字であって「生きた象形文字」ではありません。
一方、トンバ文字は今でも「絵」としての象形性を保っています。
つまり、トンバ文字は「絵をそのまま文字として使い続けている」文字体系であり、漢字は「象形の末裔で、かつて絵だったものが、抽象化されて記号化した」文字体系となります。
ミーティングでは36種類のトンバ文字と経典の一部を読み、私達が認識する文字との発想の違いや、そこから推察できるナシ族の人々の文化について、私が事前学習で得た知識などを共有しました。
非常におもしろい刺激を受けたと思います。
※今回使用したトンバ文字はQuizKnockさんの動画、および、そこで紹介されていた黒沢直道教授のトークショーの動画で解説があったものを引用させて頂きました。
〇「文字の創作」に向けて
・「自然言語」「人工言語」「自然文字体系」「人工文字体系」について。
・ハングル文字、西夏文字、エスペラント語、プログラミング言語、エルフ語などに触れつつ。
・QuizKnock「東大生なら未知の言語解読できる説【キプソル語】」視聴。
最後はまさに「文字の創作に向けて」ということで、今後、新しい言語を創作することになったら、ここを抑えておくと考えやすいかもね、ということで「自然言語」「人工言語」「自然文字体系」「人工文字体系」について触れました。
現実の言語はこの4種類のどこかに分類されます。
実際にいくつかの具体例をあげつつ、なぜそこに分類されるのか、歴史や目的などに触れました。
私が勉強していた時のメモ。
仕上げに、個人的に非常に完成度が高いと感じた「文字創作の具体例」として、QuizKnockさんの動画を視聴してまとめました。
今回、ミーティングの議長を務めるにあたり、数日間だけ言語の勉強に取り組みました。
最初は最低限の知識を入れようと始めた勉強でしたが、やってみると、想像以上に膨大で奥深く、刺激的なものでした。
今まで文法や発音、リーディングやライティングという、いわゆる「学校の勉強」の範囲でしか言語に触れてきませんでしたが(そして私はそれらが苦手だった)、今回の勉強をきっかけに、言語学習にはもっと広い意味があることを知りました。
今まで触れてこなかった刺激を受け、大変興味を持ったので、ぜひ自分の創作に活かせるよう時間を見つけて学習を続けていきたいです。
取りあえず「クラウン」(自作のハイファンタジー)のために作った文字は、ゼロから考え直すことにしました。
aki



