「お母さん、今朝は初めてお餅を網で焼いてみました。」
朝起きたら、息子がこう言ってきた。
ほう…遂に餅を網で焼こうと試みたか。
「ですがね、余り上手く焼けませんでした。」
「まあ最初やしね。時間のある週末に落ち着いて餅を焼く練習をしたら上手く焼けるようになるよ。」
「そうですね。網で焼くのはお湯の中に入れて柔らかくするのより難しいですね。」
うちにはオーブントースターがないので電熱コンロの上に網を置いて餅を焼くのだが、我が息子くん御年18歳。自閉症スペクトラムであるゆえに人が普通に出来ることができないのだ。下の娘10歳は私が餅を焼いているのを「ジッ」と具に観察して今では「はじめは網をしっかり熱くしてから餅をおいて少し温度を下げて待つねん。」など我流の餅焼き技術を習得したのだが、息子くんはそういう事ができない。しかしずっと出来ないで過ごすのは将来困るだろうと思い、去年の夏休みにサンドイッチの作り方を教え始め、少しずつ私から「スープの温めかた」「インスタント味噌汁の作り方」「とろろ昆布と梅干しと醤油垂らして作る即席お吸い物」「お鍋のスープを温める時に餅を入れて餅を柔らかくする」「お湯に餅を入れて柔らかくする」を習得した。
息子に新しいことを教えるのは「コンピューターに新しいプログラムを入力していく」手順そっくりである。
例えば「インスタント味噌汁の作り方」だと、
1:湯沸かしポットでお湯の準備をする
2:クリスマスマーケットで買ったマグカップを用意する
3:このマグカップには「0.2L」のところに目盛りがついているから、お湯を注ぐ時に目安になると息子に言う
4:食糧棚にある「インスタント味噌汁」がまとめて入れてある保存袋の位置と袋を教える
5:そこから好きな物を一つ選ぶ。フリーズドライのものは、パックを開けてそのままコップに入れる。味噌と具材が分かれたものは味噌一つ具材一つ入れる
6:お湯が沸いたらコップに150ccお湯を入れる。目安はコップの目盛りより5mm下辺り
7:スプーンでこぼさないように、ゆっくりかき混ぜる
とまあ、こういった感じで全部教えていかなければならない
まるで
プログラミング
当たり前と思って手順を一つでも抜かすとエラー発生。「なんでそうなった?」とあり得ない事態が起こるのだ。
まあこんな脳みその構造故に先日1学期の成績表で「情報」の教科は最高評価の10だった。方や語学セクションのIQが50しかない語学科目は及第点の7だった。
語学セクションのIQが50ってどんな感じですか?
と思われる方は多いと思います。
コミュニケーションは普通にとれますし、こちらの言っている事は勘違いも多発しますがそれほど問題はないです。息子の場合は語学以外はIQが120前後なので、問題の語学も他の能力でカバーできる事があるようです。読書は日本語は全く問題ありません、むしろ普通の人より読むスピードは無茶苦茶早いです。そして読む本を手に取ったら「この本は◯時間で読めます。」と自分の読書スピードから読み切る時間を算出する…
因みに今高校の哲学で習っているパスカルの「パンセ」は「2週間あれば充分余裕をもって読めます。」と送ってくれた私の父に言っていた。すげーな、おい。同日に届いた私の頼んだ書籍は
弱虫ペダル
spare bike 11
この差なんだ?
とまあ…言語障害といえども息子の場合はアウトプットに問題があるタイプなのでね、結果的に行動に移すとおかしなことが起こる訳ですよ。
「明日の朝もお餅を網で焼いてみようと思います。」
「上手く焼けるといいね。今日はどこがあかんかったん?」
「片方が焼きすぎて、片方が固かったです。」
「何回も焼いたら上手くなるわ」
と言ったら息子は頷き部屋に戻った。
「お母さん!息子くんさー
娘が突然私に話しかけてきた。
お餅焼く時に
ひっくり返すこと
してへんのとちゃう?」
!!!!!!
確かに!
「だって片方焼きすぎて片方固いっていうと、ひっくり返してへんって事やん。」
しまった!
餅を焼く時には「見計らって時々ひっくり返す」を教えていなかったー!
ごめん息子よ
明日も上手く餅は焼けんわ。
↓気づいた時には既に就寝

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