強制捜査ですってね、奥さん。っていうか、私の会社のどまん前ですよ。

東京地検、小沢幹事長「陸山会」と「鹿島」捜索
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100113-OYT1T00974.htm
「陸山会」事務所など一斉捜索 東京地検
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100113NT001000413012010.html

[引用]関係者によると、陸山会は04年10月29日、秘書の寮を建てる目的で、東京都世田谷区の宅地476平方メートルを都内の不動産会社から約3億4千万円で購入。04年分の収支報告書に記載せず、05年分の報告書に同年1月に購入したとして記載した。

 突破口としてはまあこんなもんじゃないでしょうかね。小沢会見が事実であれば、物証はあらかた検察が前回持っていっているはずなので、見せしめ的側面もあるのかなと感じるところですが。
 もう関係証言だけでも立件しようと思えばできるんだろうなあというところで、セレモニーとしての任意での事情聴取をかわされてしまったので、小沢さんを是が非でも取りに逝こうというのが我が国のあり方なようです。鹿島はちと新しいなあ。何か出てくるのでしょうか。掘ってたら、お台場のテレビ局の偉い人の自宅がロハで建った件とか出てきて巻き添えになったりすると面白そうですけど時効か。

 検察リークに頼らずとも公表されている時系列を見るとそれ相応に事案の核心がオープンになっている、というのがこの手の政治疑獄絵巻では新鮮な取り組みであります。というか、全国紙の政治部の人たちだったら、小沢さんの土地取引のことぐらいみんな知っていたよなあ。深沢の件は登記上げれば誰でも政治資金規正法違反であることは把握できます。

 これが大騒ぎするほどの重大犯罪か、という疑問は残るんですが、まあ突破口なんだろうと。何をしようと思っているのかは分かりませんけれども、時効になってなくてかねてから言われていた物件については、時間を置いて出そうという腹なのか、固めきれないからここで何か出てくるのを期待しているのか、ちと分からんところではありますね。

 多少問題の軸足としてはズレるかもしれませんけど、佐藤優氏が、かねてからの自説の延長線上でこんなことを書いておられました。

【佐藤優の眼光紙背】千葉景子法務大臣は検察を適切に指導せよ
http://news.livedoor.com/article/detail/4543253/

 判決の出る前から犯罪者に仕立て上げる空気作りに検察リークが使われるというロジックでやっておるわけですけれども、まあそういう側面もあるのでしょう。実際、そういう三味線が美しく奏でられないと偉くなれない器量なしだという判断になるのかもしれませんしね。

 その一方で、検察対権力の構造では、故・金丸さんのころから天の声で摘発が沙汰止みになったり、露骨な左遷があったりと、検察官の側もまた案件を潰されないようにするための手法として、リークとまでは言わずとも記者クラブにヒントを流して独自取材してもらうという事例は多かったわけです。「メディアスクラムが組まれてバッシングを受ける辛さは、それを受けた者にしかわからない」のは事実として、ただバッシングされた事例というのはそれなりの自信のある事案を潰されないためのマスコミ操縦がコインの表裏にあったし、そうであるがゆえに大概高裁、最高裁まで争っても「有罪」の結果になる、という部分もあります。公判が維持できなさそうだったら、単純に週刊誌の見開きになって終わる、というのもあるわけで。

 検察対権力という図式が矮小化されたマスコミ的な記号にすぎない、とまでは私は思わないけれども、解散した政党の資金を私的な政治団体に横流しして着服した件や、所定の公共事業で建設業者から秘書を通じて天の声を演出し権勢を誇ってきた手法が明るみに出た件は、小沢さんとある程度行動をともにした代議士であれば多かれ少なかれご存知なんじゃないかとも思います。

 国家権力がどうとかいう文脈ではなく、単純に「悪いものは、悪い」でいいんじゃないでしょうかねえ。