中国ではネットゲームも報道の一種ということで、統制による秩序回復が必要だという話になったようです。

中国、ネットゲーム運営への外資参入を禁止
http://www.asahi.com/international/jinmin/TKY200910100212.html

 まあ、普通に考えてもサービスの保護主義的政策であり、どういう形であっても日本の業界団体やネトゲ関連の事業者は政府に働きかけて対抗策を講じるよう求めるのが本来の考え方なんでしょう。だけど、民主党の言う成熟した産業ではないネトゲ業界や広く見たゲーム業界はあまり外交的アクションを政治に求めるという行動様式がないので、そのまま「やられ損」になってしまう可能性は高いんでしょうね。

 平たく言うならば、中国でコンテンツビジネスをするにあたって我が国は映画や音楽、コンソール機向けゲームなどあらゆる複製可能メディアでは海賊され放題であり、プロパテント政策を推進するはずの知財関連部門が政府になくて民間の対応にすべてが委ねられてきました。そういう複製が文化になっている国でコンテンツで売上を遺漏なく集める有力な方法のひとつがネットワークを利用したサービス課金であり、ケータイに紐付けたりウェブサービスとして実施したりというビジネスにおいては日本には一日の長があるということで多くの合弁会社が作られ、たくさんのサービスが立ち上がってきたわけですね。

 まあ、いろんな問題はありつつもそれなりに利益を上げつつある状況になったのですが、中国政府というよりもそれらネトゲ事業者を束ねる有力者が中国政府に働きかけるなどして、日本に限らず全体的な外資のパージを行って利益を独占したいという流れになっていたのでしょう。そして、今回の通達の通り、今回の規制は遠からず実施されるし見せしめとなる事業者も出ることと思われます。

 明らかにフェアではないのだけれども、事態は明らかにコンテンツ事業の一分野における経済戦争そのものであって、日本は仕掛けられている立場にいるんだけれども民間で対応する、政府には頼らない、という流れが完全に出来上がっちゃっているのもあって、たぶん日本が中国で得ていたこれらの商圏は完全に失われることになるのでしょう。それで儲かっているのは日本のゲームメーカーの一部であったとしても、ソフトウェアの製造委託以外で中国でのコンテンツビジネスに取り組んで儲かっている企業は他にありますでしょうか。

 いますぐどうにかしろ、という必要はないのですが、通達の内容や履行状況を良く見極めたうえで政治的な対応を求められた場合に日本に何ができるのか、いま一度良く考えるべきだろうと思います。そうでなくとも、クールジャパンとかコンテンツ業界のビジネスの部分に喰らいついていた人たちはたくさんおったわけで、あのころ日本のゲームやアニメは世界に通用するとか喚いていた人たちはいったいどこに消えたのか、正直追跡取材をしたいなあとまで思うところであります。ぜひ、意見を訊いてみたい。