微妙にフォローなど。


朝日社説 ヘッジファンド―情報集めて監視強化を 08:53
http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20070521/1179705181
ヘッジファンド―情報集めて監視強化を
http://www.asahi.com/paper/editorial20070521.html#syasetu1


 新聞記者の人が、金融や市場についての知識がそれほどでもなく、ヘッジファンドとは少ない元手で何倍にも増やして運用している投機であると考えているのであれば、そのような議論になるのは当然であるとして、実は現況、これらのヘッジファンドの資金の出し手のかなりの部分がレッドペーパー、要するに中国系金融機関が外資系投資銀行を通じて流入しているのが問題になるわけです。


 オイルマネーはまだ実態のある資金であるわけで、問題はインフレ圧力の輸出気味に世界に資金を循環させる装置が暴走していて、ちょっとでも資金需要がありそうなファンドがあると一斉に挙手が入るのも良く分かる話。それこそ、オランダ系の商社や、穀物メジャーなんかがこぞって日本にファンドを立ち上げ、地場でやってきた金融グループのネタを喰い散らかしている現状なんかも並存しているんです。


 朝日新聞の肩を持つわけではないのだけれども、本稿で書かれている「知りたいのは、1兆5000億ドル(約180兆円)ともいわれるヘッジファンドがどこの市場のどんな商品に投資しているのか。それがどの程度の規模で運用されているのか、金融機関がどのくらい融資しているのか、といった情報だ」というのは、率直に言うならば政府系情報機関であっても正確なところは分かっていないのではないか? とも思える精緻な閉鎖性と国際性を併せ持っていて、貸し手となる金融機関から何とか辿れてきた過去の実績も、中国の経済成長で中国系の謎金融機関が、それこそマカオだの香港だのモンゴルだのモナコだのベルギーだのに設置されていたら誰もそれはチェックできないわけです。


 そうすると、ヘッジファンドだと分類されていた当事者が、実は流動性の低い相場で大量の資金を拠出して博打を打っていた(さらに代行する表権ファンドがあった)なんてことも充分考えられるのです。


 もっとも、ヘッジファンドに対する監視、規制が強化されたから市場が健全化の方向に向かうんだ、という議論はあまり通りが良くないので、ドイツが何を言ってもとりあえずは骨抜きにされるんでしょう。が、原則論で話を進めてしまうとうっかり事態を判断し損ねて、公益性の高い日本企業が外資系ファンドに買収されてしまい、その外資系ファンドの資金の拠出元が中国政府系の金融機関だった、などということも現場では発生しうるのでしょうがね。そのベース条件を決定している重要なパラメータのひとつが例示されている円キャリーだと言えないこともなく、実態が分からない以上、そうだとも違うとも検証できないという点で良く出来た話だなあと思うのです。


 ましてや、ヘッジファンドを動かしているグループが密接に個別案件ごとのプライベートファンドなんかも運用してたりすると、確かにドイツ政府が主張するように「国難 "sorts of a national crisis"」なんでしょうけれども、ただそれ以上にいつの間にか共産主義者が資本主義の手法に適応しているその生命力には驚きを禁じえません。


 でも、個人的には日本の不動産や市場はもう少し外人比率(とりわけ純正欧州系資本の比率)を上げていいんじゃないかと思いますけどね、安全保障的には。日本が戦争に巻き込まれる→毛唐が「俺の在日資産が目減りしちまう! EU政府は介入しろ!」と叫ぶ、といった目線で考えると分かりやすいでしょうけど。


 自分勝手すぎですかそうですか。