#298 私の落語家列伝(2) ―拙ブログ#296参照― | 鑑賞歴50年オトコの「落語のすゝめ」
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鑑賞歴50年オトコの「落語のすゝめ」

1956年に落語に出逢い、鑑賞歴50余年。聴けばきくほど奥深く、雑学豊かに、ネタ広がる。落語とともに歩んだ人生を振り返ると共に、子や孫達、若い世代、そして落語初心者と仰る方々に是非とも落語の魅力を伝えたいと願っている。

【前の投稿】#296 私の落語家列伝(1)

 

初代 桂春團治(18781934 かつら はるだんじ)

改めて記述するまでもない、小説に演劇に歌謡曲にと今なお忙しい人である。私とは時代が違い、伝説の人と思っていたがSPレコードという形で多くの音源が残されていて、高座を聴くことが出来たのは意外であり、感動でもあった。レコードが片面5分程度であるため短い噺が多いがテンポの良い、しゃべくり上手であることを知った。落語に命を懸けたという迫力を感じさせるものがあった。今ではCDも出ているそうで手軽に聴くことが出来る。レコード録音用の客のいないスタジオと違って生の寄席では自作のギャグを連発したと聞く。「いかけ屋」、「寄合酒(#5)」、「厄払い(#129)」、「鉄砲勇助(#244 弥次郎)」などの滑稽噺に本領を発揮した上手、人気者と位置付けられよう。また、得意ネタの一つが「野崎詣り(#190)」であったと聞くがこれは三代目にも引き継がれていて、春団治のお家芸と言えよう。名跡は現在に受け継がれていて当代は四代目である。

 

 (サクラ)

 

四代目 桂文團治(18781962  かつら ぶんだんじ)

(ボタン)

戦後はほぼ引退していたが、上方落語家の払底を見兼ねて長老として高座に復帰し、橘ノ円都と共に上方落語界を牽引した一人である。持ちネタは多く、講談も得意にしたという喋くり上手な話芸の持ち主であった。音源も残されていてCDも発売されているようであるから上方落語を研究したい方には外せない人物だと思う。現在は空き名跡となっている。

 

三代目 三遊亭圓馬(18821945 さんゆうてい えんば)

(モチツツジ)

上方出身の落語家であるが東京へ移って活動し、一流の江戸落語家として名声を高め、上方落語を東京へ移植した功績が評価されている。また。三代目三遊亭金馬八代目桂文楽の名人二人を育て上げて落語界発展に貢献した一人で、SPレコードが10数枚残されている、持ちネタの多かった上手である。私のライブラリーには「権助提灯(#85)」しかないが、他の噺も聴いてみたい一人である。当代は五代目で、圓馬Gに属している。
 

橘ノ圓都(18831972 たちばなの えんと)

(ユリ)

戦後、上方落語家が20名を切り、灯が消えるかという時期があった。東京と違って漫才に押されていたのであった。その危機を乗り越えて再び隆盛に導いた功労者が三代目桂米朝六代目笑福亭松鶴五代目桂文枝それに三代目桂春団治の4人で、世間は敬意を込めて“上方の四天王”と呼んだ。その中心であったと思う米朝は再興に際して、当時長老的存在であった円都から多くの上方噺を教えてもらったそうである。

 円都は最晩年まで高座に上がり続け、かくしゃくとした名席を数多く残している名人である。「近江八景(#145)」、「猫忠(#269)」の代表作の他、「しびん」、「長者番付」、「軒付け(#290)」や「鬼門風呂」など今では聞かれなくなったと思う噺も残されているようである。後進の指導にもあたり、派手さには欠けるが上方落語界の現在の隆盛を導いた功労者の一人と言ってよいであろう。だが、この大名跡は受け継がれなかったようである。
 

三代目 春風亭柳好(18871956 しゅんぷうてい りゅうこう)

(パンジー)

 “野ざらしの柳好”と異名を取った、高座で不思議と華のある噺家であったと誰もが評している上手である。確かに、流暢なしゃべりは魅力的で、「蟇の油(#75)」は他の追随を許さないものがある。「野ざらし(#247)」では得意のノドを聞かせていてさすがに聴きものであり、「居残り佐平次(#28)」も代表作に入れていいだろう。当代は五代目で、四代目も与太郎もので人気を集めた。
 

二代目 三遊亭圓歌(18901964 さんゆうてい えんか)

一言で言えば、真面目に落語に取り組んだ落語の字引的な存在というイメージである。創作、古典の双方をこなし、持ちネタの多さは東京落語界で1、2位を争うほどであるという。創作落語では「呼び出し電話」「霊界電話」などの“電話シリーズ”や「てれすこ(#258)」が特に有名である。古典では滑稽、音曲、芝居、人情噺と幅広い芸域を披露した。「紋三郎稲荷」「柳の馬場」「紺田屋」など高座に掛けられることの少ない噺の音源も残していて、持ちネタの多さと併せ、落語学の大学教授風の名人と言って良いだろう。少し高い声で色気を感じさせる女性を演じるのが上手かったことが特筆される。また、超人気者となった三遊亭歌奴(後の三代目三遊亭圓歌)を育てた功績も高く評価されよう。恰幅の良い笑顔の多い落語家であった。

当代は四代目で、新作の名手・三遊亭歌之介が継いでおり、芸風は引き継がれていると言える。

(シャクヤク)

 

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