オーロラ 2024年6月29日未明 | やる時はやりまっせ!

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ニュージーランド南島クィーンズタウンで満天の星と赤色オーロラの撮影に人生を捧げております。同タイトルのホームページTOPを毎週移植

 

オーロラ 2024年6月29日未明

 

 

2024年6月28日(金)は3連休の初日。前夜に夜更かしをして、昼前に起床。
ブランチに「朝ラー」と「自己焙煎コーヒー」というとんでもない組み合わせを食べながらネットをチェックすると、太陽風の速度は秒速300キロメートルと超低速なのに、その磁場の向きが南向きになっているではありませんか。

太陽風速度が超遅いのに、磁場が南向き。

これって「何かある」んですよ。早い話、津波が来る前に海面が下がる事がありますよね。それに似ていると思っているのですが、世界時2024年6月24日21時頃から発生したフィラメントの噴出により発生したCME「コロナ質量放出」の濃い部分が近付いていると感じました。

世界時の21時と言えば、日本は時差が9時間先行しているので6月25日(火)朝6時、そしてニュージーランドは12時間先行しているので同日午前9時。

そして世界時6月28日(金)09時10分。その衝撃波が150万キロ遠方のラグランジュ・ポイントに打ち上げられた太陽観測衛星 DSCOVR にヒット。

日本時間の28日18時10分であり、NZ時間の同日21時10分になります。

この時の太陽風速度からオーロラの出現時間を推測する。
その瞬間の速度が秒速366キロメートルだったので、筆者の編み出した方程式から1時間50分弱となる。

そう23時丁度には5台のカメラを設置し終っていなければならない。真冬なので全てのカメラにレンズヒーターも巻かねばならず、マオリ族のお正月である祝日「マタリキ」で仕事も休みやし、早めに出撃する事にした。

しかしだ、天気が天気が・・・。

 

 

 

 

 

 

街中にあるウエブカム、そして気象衛星ひまわり8号の連続写真を見ても、何処にも晴れ間が無く雲量は10。そう全天が曇っている状態。何処にも雲間がない状態。

しかし、NZ時間の22時30分になり太陽風がもう一段早くなり、それと同時に太陽風磁場の向きがマイナス25uTに達する大嵐になりそうな状態。

これで自宅に居座るわけにはいかない。もしかしたら、雲が赤く染まる様が撮れるかもしれない、少しでも雲間があれば撮れるぞ!と思い、カメラ5台分の荷物を積み込んで出発しました。

24時前には現地に到着するも、天気が悪いから誰もいない。ラッキーである。早い話、衝撃波がDSCOVR衛星に達してから何分後にオーロラが出るなんて情報は誰も知らない。

単にKPが5だとか6だとかで出撃してくる。それでは最初のヒットを逃す事になる。KPは過去数時間の平均の数値を表示する事が多く、それを見つけてから出撃していては、最初のヒット起こった3~4時間後という事になる。手遅れである。

太陽風磁場の向きがマイナス25uTを越える大荒れ確実の状況なので、「これは天頂を越えるオーロラが出る可能性がある」と思い、天体改造 EOS 6Dにはレンズフードを金ノコで切って除去した Sigma 10mm F2.8 を取り付けた。

写真は「ほぼほぼ円周魚眼」の様に撮れる。金ノコでフードを切るのは天文屋が良く行う技である。

そのシステムで雲量10の中で撮ったら、薄い雲間を赤い光が通り抜けて写った。しかも天頂を飛び越えて赤くなっている。「予想通り」だった。

ひまわり8号の衛星写真を見ると、01時頃から雲間が増えて来る感じがしている。雲間が大きくなることを祈りながら、タイムラプス撮影を続ける。

そして午前2時前(日本時間6月28日23時前)に撮影したのが上の写真になります。

肉眼では全天雲に覆われているのですが、実は所々に雲間があり、そこから「肉眼では白色のオーロラ」が顔を覗かせていたのです。

実は雲間のオーロラの色は肉眼では「白色」であり、雲と同じ色なのです。故に気が付かなかったのです。
ちなみに写真上部の雲が明るくなっているのは、24時27分に下弦の月が昇って来ているからに他ならない。

 

 

 

 

 

 

そして時は流れNZ時間の午前3時過ぎ。オーロラは終息気味となった頃にやっと晴れてきた。

遅せぇよ

と心の中で唱えた。しかも下弦の月は丁度半月の大きさもあり明るく星空を照らしてしまっている。

本来なら「撮影している意味がない」ので、さっさと帰宅するのだが、月明かりの中でも結構オーロラが写るのですよ。

太陽風磁場の向きがNZ時間の01時06分を境に地球と同じ「北向き」に触れ、その時の太陽風速度が秒速435キロメートルだった事から、オーロラは約1時間40分前後で消えるだろうと高をくくっていました。

早い話、01時06分の1時間40分後と言えば02時46分。でも上の写真を撮ったのは、その9分後の02時55分。高度45度程度までオーロラが写っているではありませんか。

そこでスマホを見て愕然。何と5段階ある磁気嵐の強さを表す数値がG4という、上から2番目の強さの磁気嵐が起こっていた事が判りました。

そんなに磁気圏が乱れたのであっては、いつもの方程式では解けないと悟ったのでした。

03時30分を過ぎてもオーロラが写りましたが、太陽風磁場の向きも大きく北向きに振れており、再び南向きにやって来たとしても、午前4時となればオーロラ帯がニュージーランド南島から大きく遠ざかるので、これ以上の出現は無かろう…という事で撤収を決めました。

気温は曇っていた事もあり摂氏5度程度と暖かく、しかし、それでも最終的には上下共スキーウエア姿になっていました。

今回は大きなオーロラになるのではないかと思い円周魚眼レンズを持ち出しましたが、ほぼ正確なオーロラ出現高度も容易に見て取れますし、今後も使い続けようと思いました。
と言うより、金属製のレンズフードを金ノコで切ってフルサイズカメラでも使える様にしているが為、綺麗な円周画像にならないが玉に瑕。

もしかして、速攻でフルサイズ対応の円周魚眼レンズを手に入れた方が良いのかな。次のBig Oneに備える意味も込めて。

それではまた。