私はワインに混ぜ物をしない。


氷は入れないし、カクテルにもしない。

飲み方は人それぞれだし、人にはトヤカク言う気はない。

だが、私はやらない。


そんな私に、思わず氷を入れさせる魔力を持ったワイン


チリ特有の特大日射に伴う果実味と、柑橘のほろ苦

そして海岸由来の冷たい酸味

(チリの海はペンギンが出るほど寒い)


キリッとした酸味が私に訴えかける

「氷を入れろ。氷を入れろ。俺はもっとキリッとするぞ」と


人がワインの飲み方を決めるのではない、ワインが人の飲み方を決めるのだ。

ワインの要求に折れ、しぶしぶと氷を入れる。


するとどうだ、

果実味とほろ苦は静かに消えていき

キリッと爽快だけが残る。


そばらしいキレ味だ。

真夏に飲む上等なアイスコーヒーのようにキレている。

このキレだけでやってけるくらいキレている


冷えると香りは閉じるはずだが、それでも閉じきらない香りとほろ苦がワインらしさを支えている

まるで氷の彫刻のような極限のバランスだ


夏に飲むべきなんだろうが、寒い時期飲むのもそれはそれで

雪見だいふく的な良さがある


氷を入れるとどうしても薄くなるので次はアイスバケツを用意か