『フォルティスラント』
ワープの魔法から解放されると、そこは、フォルティスラントのサンドル村の様だった。
サンドル村に足を踏み入れると、雷桜は異常な光景を目にした。
壮大に広がる美しき大地とは対照的に、ケンタロ族の人々は皆、痩せこけているのである。
村人たちからはピリピリとした空気を感じる。
そして少し遅れて、ガレアンたち騎士団もサンドル村に到着した。

君たちがクリアからやってきた者たちじゃな。
わしはこのサンドル村の長老である、コースじゃ。


長老のコースが出迎えにやってきた。

コース長老、久しぶりね


既に到着していたアルフィナが挨拶をする。
どうやらコースとは知り合いのようだ。

アルフィナ様、久しぶりじゃのう。
エリノアがあなたを見たらきっと喜ぶことじゃろう。
こんな状況ではあるが・・・いや・・・こんな状況だからこそと言うべきか・・・


アルフィナの顔を見たことで、コースも安心したように息をついた。

雷桜が、この会話に加わるべきか悩んでいると、
グレイスが雷桜の服の袖を引っ張ってきた。
グレイスを見てみると、なにか言いたそうにしている。

雷桜、悪いけど今回は一人で行動させてもらうわ。
・・・まぁ、もし何かあった時は助けてあげるかもしれないけど、それまであんた一人で頑張りなさい


グレイスは、雷桜にだけ聞こえる声で言った。
ガレアンに対して、疑惑の眼差しを向けている。

では、ここは君たちに任せるとする。
私たちは前線の支援に向かうとしよう


ガレアンは、アルフィナと雷桜を村に残し、騎士団を連れて、前線へと赴いた。
そして、グレイスはいつのまにか姿を消していた。
アルフィナと、コースはまだ積もる話をしているようだ。

じゃが・・・申し訳ないが、今はおもてなしの一つもできぬ・・・。
内乱の状況がかなり酷いものでな・・・


残された雷桜は、二人の会話に加わるタイミングを待った。

飢饉に耐え切れぬ者たちが、過った道へと走ってしまうこともあるのじゃ・・・。
民の飢え一つを解決できないこの状況で・・・客人をもてなすことなど不可能なのじゃ


コースは申し訳なさそうに言い、頭を下げた。

そんなの全然気にしなくて大丈夫ですよ
私たちは、ここへ遊びに来たんじゃないもの、問題を解決するお手伝いに来たんだもの。
手伝えることはありませんか?


雷桜は、全然気にしてないことを伝えて、
むしろ自分になにか手伝えることはないかと尋ねた。

すると、コースから民の飢えを解決してほしいと、
村の外に居るサギを狩ってきてほしいと頼まれた。
雷桜は、それに二つ返事で答えた。

わしはまだやることがあるから失礼する。
サギの肉を集められたら村の外に居るであろう、わしの元まで持ってきてくれ


話を終えると、コースはまた忙しそうに働き始めた。