フォールズカウムに足を踏み入れると、
怒りのような、悲しみのような・・・
謎の感情が押し寄せてきた。
フォールズカウムの中には、予想通り大量のモンスターが生息していた。
残らず撃破しなければ、先に進めそうにはなかった。
サカを撃破する。
フォールズカウムの最深部に到着した。
また、雷桜は誰かに見られている感覚に襲われた。
しかし、振り返っても誰もおらず、おかしな点は見つからなかった。
ふと、前方の暗闇の中にメルのような少女がいるのを見かけた。
シュウはメルを見て、一気に走り出した。
辺りが一瞬暗転すると、目の前には、メルにシュウ、それに、センナにアンナもいる。
これは、メルが見せている過去の記憶だろうか?
暗転が解け、現実に戻ると、モンスター化したメル『インヴィーメル』が襲ってきた。
雷桜は、唇を噛み締め、インヴィーメルを撃破した。
ようやく最深部でメルを見つけたが、結果は不幸なものになってしまった。












さらに自らを『救済者』と名乗るものに、宝珠を奪われてしまった。
シュウはメルの身体が、既に冷たくなっていることを感じて、悲しみのあまり涙を流した。
メル・・・。
小さな女の子一人の命も守れないなんて・・・!
邪神の宝珠・・・取り戻すわ!
それに・・・救済者・・・ですって?
嘘や欺瞞・・・クリアを信用しない方がいい・・・?
いえ、きっと私たちを惑わせるための言葉に決まっているわ!
とりあえず考えるのは後よ!
私たちも早くこの場所から離れたほうがいいわ!
雷桜・・・宝珠が奪われてしまったことについて、
エマに報告する必要があると思うの。
仮に救済者のあの言葉を信じるとすれば・・・。
きっとクリアはなにかを知っているかもしれないわ
救済者・・・あいつが言った言葉の意味って一体・・・。
それにどうしてかしら・・・なぜか嫌な予感がするのよ・・・
アルフィナは真面目な様子で告げた。
雷桜は、自分もアルフィナに同意見であると言ったうえで、エマへの報告を請け負った。
そして、救済者と名乗る男があなたたちに告げた話は、冗談には聞こえなかった。
もしかしたら、クリアは本当になにかを隠しているのかもしれない。
クリアへの疑心がよぎったが、それは、口にしなかった。
アルフィナは言い終えると、いつものように花びらに乗ってこの地を後にした。
シュウは雷桜に深々とお辞儀をして礼を述べた。
雷桜は、なんの役にも立てていない事と、
メルが助けられなかったことに対して、申し訳ない気もちでいっぱいであると告げた。
いや、謝ることなど何もない。
お前がいなかったら・・・そもそも俺はこの場にいることすらできなかった。
メルのことは・・・俺のせいだ。
またいずれ、お前に会えることを願っている。
雷桜、ひとまずはお別れだ。
シュウは再度、雷桜にお辞儀をした。
雷桜は、メルの傍にたたずむシュウに、あまり長居はしないで、とだけ声をかけ、
フォールズカウムを後にした。






















