なよ竹のよながきうえにはつしものおきゐて物を思ふころかな
寛平の御時に、唐土の判官にめされて侍りける時に
東宮のさぶらひにて、をのこども酒たうべけるついでに
よみ侍りける
ふじはらのたゞふさ 古今和歌集 巻第十八 雑歌下 (993)
夜闇に竹は静かにうつむき、今年最初の霜が降りている
細い竹のしなやかな光沢、境界と境界との間に白い霜は
いまはまだ知らぬ大陸が、人の声の彼方に広がっている
この長い夜、眠ることもなく、ただ言の葉の中にあるのか
白い霜とともに降りてくる、遠き世界からの言の葉の中に

Karl Richter - Organ Works / Prelude & Fugue In B Minor
- I. Prelude - BWV 544