ずっと気になっていた本でした。読み応えがあり一気に読んでしまいました。前半と後半でだいぶ色が変わります。最後まで読まないとこの本の良さは分からないと思います。
誰が犯人か、二転三転しながらようやく判明し、私の予想は見事に外れました。上手に持っていかれました。面白かったです。
舞台が就活という所が珍しく(なので犯人と言っても殺人事件の犯人ではないのですが)、人間模様にいろいろ考えさせられる場面も多かったです。
――嘘つき学生と、嘘つき企業の、意味のない情報交換。それが就活。
私も就活で苦労したので当時を思い出してしまったのと、今も変わらず大変なんだなぁという思いで、いろいろ考えてしまいました。
この本のような事を実行する学生はまぁいないだろうけど、犯人の言っている事はまぁ分かる。
――面接などの短い時間の対面だけでは学生のことは見極められない。向こう数十年にわたって活躍してくれそうな、なんとなく、いい人っぽい雰囲気の人を選ぶ。
これが真実なら、面接なんて本当にただの運。面接官との相性的なものによる。と思えてきます。
――一面だけを見て人を判断するほど、愚かなことはきっとないのだ。確かにみんなが醜い部分を見せ合ったかもしれないが、そんなものは月の裏側の、ほんの一部にすぎないのだ。
一つの出来事だけで人を判断しない。決めつけない。物事を多面的に見られる人になりたいです。
最後はいい感じに終わって本当に良かったです。