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●鉄砲木ノ頭(明神山)・高指山 2013年10月19日(土)曇り

 神奈川県・山梨県

 鉄砲木ノ頭(明神山1,291m )/高指山(1,174m)

<参考コースタイム>

 JR駿河小山駅→バス(25分)明神峠→(1時間)三国峠→(40分)鉄砲木ノ頭→(35分)切り通峠→(35分)高指山→(30分)富士岬平→(35分)石割の湯→(バス)旭日丘→(バス)御殿場

 参考徒歩合計:約4時間

 参考歩数:17,000歩

<日帰り温泉>石割の湯
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10月19日、世界文化遺産登録後、初の富士山の冠雪

鉄砲木ノ頭は、丹沢山塊の最西端に位置する1300mの山で、別名”明神山”ともいう。山頂は、富士山と山中湖が一望できる絶景の撮影スポット。

山名は、地図やガイドマップには「鉄砲木ノ頭」と書いてあるが、地元の標識や案内板は、すべて「明神山」の表示だから要注意。



この山を目指すには様々なコースがある。もっともポピュラーなのは山中湖村の東電寮入口経由・パノラマ台のコースで、わずか1時間で山頂に立つことができる。このほか、篭坂峠からの三国山を経由するハイキングコースが人気。



だがわれわれ(3人)は、交通の便(大月経由より短縮)を考えて、JR御殿場線・駿河小山からバスで終点の明神峠に向かい、そこから三国山を経て鉄砲木ノ頭を目指すことにした。



10月19日、駿河小山の駅頭に立つと、なんと富士山が雪化粧しているではないか。地元の人に聞くと、昨夜から降った雨で、今朝、初冠雪していたという。

平年より19日遅れ、昨年に比べて37日も遅れたとはいうものの、関東地方はつい数日前まで30度の夏日を記録したせいで、初雪は全くの予想外。



目指す鉄砲木ノ頭は、富士山の眺望で有名な山だから一気に期待で胸が膨らんてきた。
山   写真 温泉 駅前から見た富士山
バス停の向かいに登山道の入口があるが、経路はその脇にゲートを開けて山道を進むか、舗道をバスの進行方向に向かってそのまま辿るかの二通りある。20分ほど歩くと道路の左側に三国山への登山口があり、合流する事になる。
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歩道と登山道の合流点

駿河小山駅は静岡県だが、三国山登山道は神奈川県。

三国とは、静岡、神奈川、山梨の3県で、山頂がちょうど3つの県境になる。

三国山からは北東に向かって、鉄砲木ノ頭、菰釣(こもつるし)山、さらに畔ヶ丸に伸びる稜線が、甲相国境山稜(尾根)とも呼ばれ、江戸時代からの紛争地域だったらしい。

コース上のところどころに、「県境見出標」と記された林野庁の石標やブリキ板がある。
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われわれが辿るコースは、この県境に沿って尾根を歩き、最終的には山梨県の山中湖畔に近い石割の湯に浸かることになっている。


今年は秋の訪れが遅いせいか、秋の気配にはまだほど遠い。紅葉どころか、ススキの穂がようやくふくらんできたばかりだ。

道路脇の三国山登山道の入口から、ブナ林の急坂となる。
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秋、静かな山道を歩いていると、枯葉に大粒の雨が落ちてくるように、ポトポトと乾いた音が聞こえてくるときがある。

高く聳えた梢からドングリが落ちてくる音だ。

この時ほど、山の静けさを実感するときはないのだが、本日は、麓の方から、

騒々しい車の爆音が聞こえてくる。富士サーキットからの騒音らしい。

山道は、先週吹き荒れた台風の影響で、枯葉や小枝が散乱している。



この時期見るべき花はないだろうと思っていたが、途中トリカブトの群生を見た。

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歩き始めて1時間ほど経ったころ、ブナの疎林から今日初めて山中湖が見えてきた。

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写真中央に山中湖

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さらにそこから急坂を10分ほどあえぐと、三国山の山頂に着いた。

標高はおよそ1250mほどだろうか?
周囲をブナとクヌギの広葉樹に囲まれて、視界はほとんど効かないが、かろうじて真北の方角に、雲の上に浮かんだ御正体山の山容が見えている。
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バス停からここまで休まず一気登ってきたので、ザックを置いてひと休み。
山   写真 温泉  山頂
この三国山山頂が、静岡、神奈川、山梨のちょうど県境になり、山道を下りると、今度は甲相(山梨と神奈川)の県境に沿って北上することになる。

3県の県境は、今からおよそ170年前の弘化4年(1847年)、7年間の裁判の末、幕府によって裁定されたという。
山   写真 温泉  三国山山頂
山頂に、「丹沢の緑の回廊」と書かれた大きな案内板があり、「丹沢の緑の回廊は、複数の保全林を混合させ、野生の動物間の移動と相互交流を促し、種の保全と多様性を確保しようとするものです」とある。

山域に生息する動物は、ツキノワグマ、カモシカ、テンなど。
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山頂から坂を少し下ると南西の方角に、姿の良い独立峰の愛鷹山連山が見渡せる。この愛鷹連山の一角を占める「越前山」から富士山までは、わずか15kmの距離。

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この山はブナの木が豊富で、さらにカエデの木もある。新緑や紅葉の季節はさぞ見応えのある樹林になるのだろう。

そう言う意味では、ここまで誰ひとりハイカーを見掛けないのは、やはり中途半端な季節だからかもしれない。もとも当日は、台風が接近、午前中曇り、午後から雨という予報の影響かも?
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10月中旬ともなれば、わずかでも紅葉した樹木があるだろうと期待したが、残念ながら、この山を彩る草木はリンドウやトリカブト以外にほとんどない。

ここまでかろうじて赤色があるのは、トウモロコシのような形をしたマムシ草の赤い実。

実の形がマムシではなく、葉がマムシが鎌首をもたげたような形をしているのでそう呼ばれるらしい。
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山頂から急坂を下ると、道は落ち葉で塞がれて分りにくい。下りは良いが上りは踏み跡がはっきりしないので心配。


15分ほど急坂を下ると、車道に出る。

そこが標高1170mの三国峠。

三国峠は鬱蒼として樹林の中だが、さらに10分ほど歩くと、一転して視界が開けて、冠雪した富士山が見られる場所に出た。
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広大な草原の向こうに聳える富士山の姿は、いつみても感動的!

とくに今日は、終日曇り空で展望をあまり期待していなかったので、その歓びは半端ではない。

まるで、サバンナとキリマンジェロの壮大な風景を連想させてくれる。



鉄砲木ノ頭は、富士山を背にして登るので、このあと何度も振り返って見ることになる。
ススキの原の登山道の高度を稼ぐと、徐々に視界に山名湖が映り始めてきた。

富士山の麓たなびく白い雲の具合も良い。
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三国峠から50分ほど歩いて、11時5分、バス停から1時間50分で、目指す鉄砲木ノ頭の山頂に到着。


目の前に視界を遮る山や樹木がないのは、爽快な気分!

山頂には本日初めて会う人がいたが、この雄大な景色をわずか数人で独占できるとは、この上ない贅沢というもの!

因みに山頂から富士山までの距離は約19km。

山   写真 温泉  山   写真 温泉 山頂には、立派な山中諏訪神社の奥宮がある。

この山を地元の人が「明神山」と呼ぶのは、奥宮に祭られているこの”諏訪明神”に由来する。



もっとも肝心の”鉄砲木ノ頭”というなんとも不可思議な山名の由来は分らない。一説には、山頂付近から大雨で鉄砲水が出ることに由来し、水が木に誤記?されたという・・がどうだろう?

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昼にはまだ時間が早いが、ここで昼食。

ちょうどいい具合に奥宮の礎石がベンチ代りになる。



食事が終わる頃になると、この日二組目となる登山客がパノラマ台の方から続々登ってきた。その行列は途切れることなく、合計23人に達したから驚き。どこかのと登山ツアーらしい。

あっと言う間に、奥宮の周囲がにぎやかになってきた。
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鉄砲木ノ頭から次に目指すのは、高指(たかざす)山。一度切通峠に下り、そこから登り返すことになる。



下山してからすぐ、林の中でガマズミの赤い実を見た。

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残念ながらこの実の正体を知らなかったのだが、調べてみると、実は甘く、焼酎に漬けると最高の果実酒になるという。また滋養強壮など古くから薬用酒としても飲まれてきたそうだ。

花は、白く、アジサイのような極小の星状毛が密生し、5月の下旬ころからよく山野で見かけるが、実は知らなかった



ガマズミ(スイカズラ科)に関しては、「民俗と植物」武田久吉著)」という著書に詳しい一文がある。

それによると、万葉集にある「妹のため菅の実採りに行きしあれ 山路に惑ひこの日暮らしつ」とあり、その菅の実は、従来「リュウノヒゲ」の果実であるとされてきたが、実は全く別の”ガマズミ”一名”ヨソゾメ”の実でなければならないという議論があるという。

確かに、この句を読むと、食用のために山路を分け入った情景が詠われている。

またこの”ガマズミ”一名”ヨソゾメ”のソメは、「染め」の意味で、この実で布を赤く染めるので名付けられたという。

植物図鑑によるとガマズミは、全国各地で採取されるため、地方によって様々な呼び名があるという。
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山   写真 温泉  山   写真 温泉
切通し峠(1,048m)から10分ほど歩くと、二つ目の平野に降りる分岐に出る。

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そこから急勾配の坂道をひと登りすると、見晴らしのよい高指山(1,174m)の山頂に着いた。


高指山の名の由来は、「山頂に立てば、郷土の全てを指さし、見ることができる」とあるから眺望に優れているのだろう。

山   写真 温泉  砲木ノ頭とはまた違った、富士山と山名湖の景色が楽しめるという。

さすがに名前の通り、山中湖畔周辺の景色が一望に見渡せる絶景のビューポイント。

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山頂でじっくりパノラマを満喫して、13時10分下山開始。ここから平野へ降りることもできるが、われわれはさらにカヤトの尾根道を進んで、富士岬平に降りる分岐から下山。

目指すのは、石割の湯。

分岐からはススキが生い茂った急下降の道を一直線に下り、別荘地に出る。
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大熊さんの洒落か?あるいは本当?

別荘地を抜けると、道志に通じる県道を左折して20分ほど歩くと、最終目的地の石割の湯に到着。

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湯上がりは、途中拾ってきたドングリと生ビールの記念撮影をして乾杯!

ビールのあとは、富士山限定の日本酒を一杯!


本日は、3人とも予期せぬ初冠雪の富士山を見て満足の一日!
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帰りはちょっと面倒だが、温泉前からバスに乗って、旭日丘のバスターミナルに出て、そこから御殿場行きのバスに乗り換えることになる。


<参考登山歩数:約17000歩> 
<日帰り温泉>石割の湯


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