静岡県伊豆市
金冠山(816m)達~磨山(981m)~伽藍山(867m)
<参考コースタイム>
修善寺駅→(バス27分)ダルマ山キャンプ場バス停→(35分)金冠山→(60分)達磨山→(40分)伽藍山→(50分)船原峠→(40分)大曲茶屋→(バス20分)湯の国会館・温泉→15分修善寺駅
合計歩行時間:3時間45分
参考歩数:23000歩
日帰り湯:湯の国会館
今年は桜や桃の開花が早すぎて、登山時期のタイミングを外してしまったが、少し遅咲きの豆桜なら今が適期と、西伊豆の名峰・達磨山に向かうことにした。
豆桜は、箱根や富士山付近の山に多いため、別名富士桜とも呼ばれている。
花弁が小さく、色も淡いため、ソメイヨシノに比べ派手さはない。しかし開花時期が4月中旬~下旬と遅いため、ちょうど幼葉の芽吹く新緑の時期と重なって、山裾を覆う絶妙の”春色”の景色は圧巻。
東京方面から西伊豆の山に登るには余程の早起きが必要になる。
修善寺駅9時10分発のバスに乗るため、自宅(多摩)を出たのが5時ちょっと過ぎ。3時間半の長旅のすえ、ようやく駅に辿りついたのが8時半。ここからさらに30分バスに揺られることになる。
車内は、伊豆霊場88ケ所巡りをする団体さん(34人)で満員。話を聞くと、本日は、達磨山から、奥ノ院を経て修善寺にある最後の霊場(88番目)に下るという。伊豆霊場88ケ所のコースとは初耳だが、四国遍路と同様、ほぼ半島の輪郭に沿って88ケ所のお寺巡りをするらしい。
この団体のほか、達磨山を目指す登山客はわずか2組ほど。思ったより登山者が少ないのは予想外。
バス停のある「ダルマ山キャンプ場」は、ちょうど展望レストハウスの横にある。金冠山に行くには、さらにもう一つ先の戸田峠のバス停の方が近いが、ここから駿河湾を挟んで富士山を遠望でき、金冠山へのアプローチを楽しむにも良い。
展望レストランからの眺望
金冠山に向かう途中の山道は、満開のアセビの群落があり、特有の香りでむせかえるよう。
予想通り、豆桜や黄色いダンコウバイ、純白のアセビなど、色とりどりの花木が咲き誇り、なだらかな山道はまさに散策気分。
スタートして20分ほど芝生の山道を歩くと、視界が開けて目指す金冠山の山容が見えてきた。
さらにカヤトを抜けると、この山旅の目的のひとつのだった豆桜の群生が眼下に広がってきた。
この景色が見てみたかったのだ。淡いピンク色の豆桜が、もえぎ色の新緑に映えて美しい。
この桜並木を抜け、急坂を15分ほど登って山頂に着。
金冠山は、わずか816mの低山だが、360度のパノラマが楽しめる。富士山はもちろん、目を凝らすと冠雪した南アルプスの山並や駿河湾の全貌が見渡せる。
達磨山に行くには、金冠山から一度戸田峠に戻り、標識に沿って熊笹の道を辿る。
われわれは、戸田(へだ)の港を右手に見ながら、西伊豆の南北を走る伊豆山稜線に沿って歩く。
川端康成が、「伊豆は、海山のあらゆる風景の画廊である」と称賛した通り、この山深く、三方を海に囲まれた伊豆の風景は見あきることがない。
金冠山を後にして達磨山に向かう途中、振り返ると富士山が空中の楼閣のように澄んだ青空に浮かんでいる。
この山旅の醍醐味は、この中空に浮かんだ富士山を見ることでもある。
道は一度スカイラインを横切って、達磨山の山頂に向かって急斜面を辿ることになる。
高度を上げるに従って、手前の山に隠れていた駿河湾の青い海が広がってきた。
達磨山直下の上りは、木道で歩きやすいが、かなりの斜度がある。
途中、ふと振り返って視線を上げると、なんと豆桜の群落の向こうにまるで絵に描いたような富士山が浮かんでいる。
紺碧の空とのコントラストといい、まるで額縁に収めたいような風景に出会って呆然とした。
このキツイ斜面を 20分ほど耐えて、ガイドブックのコースタイム通り、金冠山から40分かかって達磨山の山頂に着。
山頂には予想通り、かなりの人がいるが、半分以上が、ラジコングライダーを操る人ばかり。
全く知らなかったが、この山は彼らのメッカになったようだ(7年前に訪れたときにはそんな気配は全くなかった)。
山頂に1等三角点の標柱があると相棒がいう。1等三角点は、全国に974あるというが、記念に写真を1枚。
達磨山は、むかし「十三州峠」とも呼ばれたらしい。
山頂から十三の州が見渡せるほどの眺望、という意味だろう。
伊豆には、日本百名山に選ばれた天城山がある。
実際には天城山という山はないが、万二郎(ばんじろう)岳や万三郎(ばんざぶろう)岳などを総称して天城山と呼ぶらしい。
前から気になっていたのだが、万二郎や万三郎があるのだから、当然「万太郎」と呼ばれる山があるのだろう思っていたのだが、地図やガイドブックにこの名を冠した山はない。
長い間そう思っていたら、ふとしたことで、この達磨山こそが探していた「万太郎山」であることを知った。
伝説によると、伊豆に万太郎、万二郎、万三郎の天狗の3兄弟がいて、それぞれの山域に棲んで暮らしていたという。
しかし、弟分の山はそれぞれ1300m,1400mと1000mを超える山なのに、1000mにも及ばない達磨山(981m)がなぜ長男に遇せられたのだろう。
もっとも山頂からの景色は、弟分に比べ達磨山の方が優れているのだが・・。
本日は、達磨山からさらに南下して伽藍山(867m)を経て、船原峠を東に下って大曲茶屋バス停に向かうことになっている。ここから修善寺に向かうのだが、途中日帰り温泉の「湯の国会館」で下車・・。
船原峠は、土肥(どい)港と十字に交差する主要な峠になる。
道は途中、スカイラインの舗装道路になるが、何ヶ所か、山中を通るショートカットの近道がある。
この抜け道を見落とすと、結構な時間と脚力のロスになる。
伽藍山からの船原峠への途中
高度を下げるにしたがって気温が高くなったせいか、爽やかな5月の新緑を思わせるほど緑が濃くなってきた。
舗装道路を歩くのは、足にこたえるが、新緑を目にして気分が浮き立ってくる。
大曲茶屋バス停には、3時10分発のバスに乗るため先を急いだが、30分ばかり早く着いたようだ。
歩行時間の割に足にハリが出てきたのは、ずいぶん距離を歩いたせいだろう。相棒の計測によると、スタート地点からここまでの歩数は、約23000歩とか。
市営の「湯の国会館」
温泉に浸かって、顔を洗うとやはり相当日焼けしたようでヒリヒリする。
湯上がりの生ビールが、ことのほか・・・・(=⌒▽⌒=)。
本日は、あさ5時に家を出て、帰宅したのが夜9時。合計16時間の長旅になった。
日帰り湯:湯の国会館
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<参考>新緑の達磨山
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