交通新聞社「復刻版昭和43年10月(よん・さん・とお)貨物時刻表」(B5判、全648ページ、交通新聞社2010年3月15日発行、定価5000円、函)
古本マニアは復刻という言葉に2種類の意味で弱い。復刻するからには価値があるのだろうと思わず買ってしまうのと、珍しい原本を持っている場合にそれが復刻されると原本の価値が下がるからである。本書に関しては、幸いと後者の方ではなく、前者のパターンに従って買ってしまった。
本書の構成は、日本国有鉄道貨物局が発行した「貨物時刻表昭和43年10月現行」を本文とし、その前に当時の貨物に関する写真と、「国有鉄道 9月号(通巻231号)」に掲載された、「43年10月に実施する輸送改善」を合わせて掲載したものになっている。ぱらぱらとめくって眺めてみると、路線図には貨物用の枝線が載っていたり、旅客の動きとは違った密度を持つ貨物の時刻表があったりと、資料としてもさることながら、当時の貨物の活況が感じられる。
ちなみに、復刻とあるが、完全にオリジナルのものを復刻した訳ではない。現物はカラー表紙のようなのだが、こちらの方はモノクロ写真となっている。紙質にしても、時刻表にしては厚いものを使っているので、オリジナルとは異なっているだろう。どうせだったら、JTBの復刻時刻表のように、オリジナルと完全に同じくして、別冊として解説を付けて欲しかったところだが、製造コストや経年劣化などを考えると、完全オリジナルは難しいのだろう。
では、現物を見てみようと、鉄道博物館のライブラリーに行って、閲覧申し込みをしてみたのだが、現物は無く復刻版しか無いとのこと。それならば、残っているもので一番古い貨物の時刻表を、と注文したら、これよりも古い、「貨物列車標準時刻表 昭和41年10月現行」というものを渡された。復刻版の「復刻にあたって」を読むと、43年10月に合わせて冊子形式の貨物時刻表が誕生したように思えるが、名前は違うものの、冊子形式の貨物時刻表は存在したようである。
さらに言うと、2010年の貨物時刻表を見ると、表紙に「創刊30周年号」と書かれている。してみると、創刊は1980年ということになり、ますます貨物時刻表の起源が分からなくなる。