(「馬鹿にしとんのんか」からの続き)
気持ちを切り替えたと言っても、仕事が手に付く筈がありません。
まず、この機会に品質試験を中国側に丸投げする事に決めました。機は熟しましたし、「試験なんてもう金輪際やってやんないよ」と言う気分でしたからね。
私は事務所に居ても気が滅入るばかりだと想い、散歩がてら歩測による測量をする事にしました。太陽の光を目いっぱい浴びながら敷地内を「♪行ったり来たりの~、繰り返し~」。
ふと、上空を見渡すと「♪カモメ~が飛んだ~、カモメ~が飛んだ~」(こらこら、それが言いたかったんだな)。はい、そうですが何か(やかましい)。
その日は結局、歩測による測量に費やし、夜はコンピューターに図形を嵌め込んでいく作業に没頭しました。夕食もパスし、ヤオハンで仕入れたカップ麺を食べただけです。
そこへ、ビルと全君が様子を見に来たのです。ビルが、「アナタ、ダイジョブ、デスカ」、「ダイジョブ、ジャナイデス」。全君が、「病院へ行きますか」、「病気じゃないよ」。
「チョト、ウイスキー、デモ、ノミマスカ」と私が言うと、「イイデスネ、ワタシ、ウイスキー、イチバン、スキデス」。「付き合うか」、「付き合います」。
こいつ等には事情を説明しておかなければと想ったのです。全君は泣きそうな顔をしています。全君は妻に日本語を教えてくれていました。とても優しい男なのです。
ビルは、「アナタノ、コドモ、ゼタイ、ダイジョブ、デスネ~」と言うと、「チョト」と言って、下へ降りて行きました。自分の部屋へ行ったのでしょう。
4階は大事な客などを泊めるゲストルームと老板(オーナー社長)の部屋と私の部屋があり、3階は香港人の宿舎になっています。ビルが赤い紙を手に戻って来ました。
すると、私の部屋のドアに1枚貼り付けました。「ハイル、イイデスカ」、「イイデス」。彼は私の部屋に入って行きました。何するんだと想い観に行くと・・・。
壁にペタペタと同じ赤い紙を張っています。「コレデOK、モウ、ダイジョブ」って、そんなの意味ないよと想いましたが、気持ちが嬉しいですよね。正直ケバイですけど・・・。
福の字がひっくり返っていますので「倒福」です。倒と到は発音が同じなので、「倒福」転じて「到福」。福がやって来ると言う意味です。中国人はこんなのが大好きなのです。
Imagine (想像して御覧)、部屋の壁中にこの紙が張ってある事を、Imagine (想像して御覧)、それを毎日観ながら生活する自分を、Imagine (想像して御覧)、・・・(ジョン・レノンか)。
私は、「倒福」に囲まれて眠りにつくのでした。しかし、止めどなく涙が零れて来ます。「枕を濡らす」とは正にこの事でしょうね・・・。
(つづく)
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