(「妻を連れての帰国」からの続き) 

 

 ここで、話を少し戻します。

 

 広東省の工場から日本へ帰る方法としては、広州→名古屋直行便がありますが、広州まで行くのが面倒なのです。

 

 珠海から船で香港へ行き、香港→名古屋直行便に乗るのが一番便利が良いのですが、旅費をケチった会社が珠海→澳門(マカオ)→台北→名古屋なんて面倒な事にしたんです。

 

 現在の珠海のボーダーはとても立派な建物になっていますが、当時は寂れた貧弱なものでした。窓口も少なく大渋滞だったのです。

 

 その理由は物価の安い中国側に買い出しに来るマカオ人達(「ちょいと野菜が安いから隣国の市場に」ってなもんです)、ごった返していました。

 

 また、人を人とも思わない横柄な態度の中国入管の役人達。いつ来てもその態度には閉口させられます。ここを潜るだけでげんなりするのです。

 

 イミグレーションをを通過しても、中国側のだだっ広い緩衝地帯を歩いて行かなければなりませんでした。小汚い荒野を歩くのです。

 

 何か空気もどんよりして臭いのです(気のせいかも知れません)。そして、澳門(マカオ)との境界を超えると世界が全く変わります。目に入るものが一変し、空気も変わるのです。

 

 妻にとっては初めての外国(まだポルトガルから返還されていませんでした)。イミグレーションをを通過すれば直ぐそこは文明世界です。

 

 原始時代からいきなり現代に連れて来られたってところでしょうか(それはちょっと言い過ぎだろプンプン)。じゃあ、務所から娑婆に出た様な(それも違うムキー)。座敷牢から出た様な(そうそう)。

 

 タクシーに乗り込み、中国の小汚く野暮ったい道路とは違う洗練された海岸沿いのロードを進んで行くのです。見るもの全てが新鮮だったでしょう。

 

 近代的な建物の群れ。ポルトガル語と広東語で書かれた標識。南国の街路樹。太陽の光で輝く波立つ海。空港へ続く長い長い橋。

 

 妻が26年間生きて来た理不尽で、不平等に満ちた共産主義とは名ばかりの非文明国から文明世界への脱出を果たしたのです。そして、全く知らない違う世界に迷い込んだ様なものです。

 

 売られて行く絶望と不安(違うムキー)、いや未知の世界への期待と不安が緊張を呼び、何とも形容しがたい表情をしていたのを覚えています。

 

 エバー航空(台湾)機で一路台北の中正国際空港へ飛び立ったのですが、機内食が喉を通らない様子。緊張の度合いはマックスだったでしょう。

 

 好きで結婚したのは間違いないでしょうが、私の本性を知る術がありません。日本で何をされるか解らないのです。売られてしまうかも暴力を振るわれるかも知れませんし、他にも・・・。

 

 澳門(マカオ)ならば陸続きですので逃げようと思えば逃げられるでしょう。しかし、もう逃げる事が出来ないのです。この胡散臭い男を信じてついて行くしか術がないのですから・・・。

 

 そんな妻の心情を慮ると、これからは私が守っていかねばならんと心に堅く誓う白楽雲36歳でした(ちゃんと誓いを果たしたのかグラサン)。さぁ~ね(だから愛想尽かされんだよムキー)。へ~そうなのびっくり

 

 さて、やっと中正国際空港に到着です。

 

(つづく) 

 

 

 

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白楽雲

 

 

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