こんにちは。 

渡邉ひとしです。 


第285話のテーマは 

『3つ目の事業がキーになる』です。 


(ビジネスモデル=月曜・金曜投稿です) 


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一般的に知られていない会社 

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<クラレ>と聞いても 

一般的に知られた会社ではないと思います。 


少し前の世代であれば 

ランドセルで「クラリーノ」の名前は 

きっと聞いたことがあると思います。 


よく使う言葉では「マジックテープ」が 

<クラレ>の登録商標です。 


1926年に 

レーヨンの国産化のため大原孫三郎氏が 

<倉敷絹織>を設立しました。 


1949年に 

<倉敷レイヨン>に社名を変更しました。 


1970年に 

<クラレ>に社名を変更しました。 


2001年に 

祖業であるレーヨン事業から撤退しました。 


2007年に 

化学関連事業の売上高が拡大したことで 


「繊維製品」から「化学」へ 

株式の所属業種を変更しています。 


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<クラレ>のビジネスモデル 

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2016年12月期の連結決算は 

純利益が前期比13%増で過去最高でした。 


食品容器包装などに使うエバール樹脂や 

窓ガラス用の中間膜や 

洗剤用水溶性フィルムなどが伸びました。 


2017年9月に 

活性炭で世界最大手の<カルゴンカーボン> 

を買収すると発表しました。 


活性炭は水処理装置や石炭火力発電所の 

排ガス装置などに組み込まれて 

不純物除去などに使われます。 


新興国を中心とするインフラ市場の拡大で 

一定の需要が見込めると判断しました。 


<カルゴンカーボン>は世界中に 

幅広い顧客層を抱えていて 


活性炭の販売だけではなく 

汚染水などの処理ノウハウも豊富に抱えて 

顧客への提案も手掛けています。 


<クラレ>は水やエネルギーインフラなどの 

市場の開拓を目指しています。 


2017年9月初めには 

<ダウ・ケミカル>と<デュポン>が 

経営統合して<ダウ・デュポン>が 


発足するなど化学業界では 

世界の大型再編が相次いでいます。 


<クラレ>は酸素を通しにくい 

食品包装用などの 

フィルム樹脂である「エバール」や 


工業用アルコールや化粧品原料などの 

「イソプレン」など 

ニッチ市場で高い世界シェアを持っています。 


<カルゴンカーボン>の買収で 

活性炭事業を「第3の柱」と位置づけて 

競争力を高める狙いです。 


岡山事業所の設備を増強するため 

2017年9月に着工しました。 


セメント補強材や漁網などに使われる 

合成繊維のビニロンを生産できる 

新しいラインを導入します。 


岡山市が2017年に 

「岡山市再投資・拠点強化促進奨励金」 

の制度を新設したため活用しました。 


2018年2月に 

「2017年12月期」の連結決算は 

純利益が前期比33%増と発表しました。 


フィルムや接着剤の原料になる 

ポバール樹脂が好調だったほか 


液晶パネルに使うフィルムや 

個包装洗剤に使う水溶性フィルムなどの 

需要も拡大していて販売が伸びました。 


同じく2018年2月に 

「2020年12月期」までの 

『3カ年中期経営計画』を発表しました。 


フィルムや接着剤の原料のポバール樹脂や 

食品包装用などに使うエバールなどの 


世界首位の主力製品で 

能力増強と新市場開拓を進めていき 


機能材料と合わせて2500億円を 

設備投資に充てていきます。 


ナフサ誘導品のイソプレン関連では 

耐熱性や成型加工しやすいポリアミド樹脂を 

自動車向けに販売を拡大します。 


自動車は電気自動車化や電装化が進み 

ポリアミドの需要が見込めます。 


2018年2月に 

心拍数のデータを取得するなどの機能を 


衣服に持たせた「スマート衣料」に 

参入する方針を明らかにしました。 


スタートアップ企業と組んで 

着心地の良さなどを追求して 

独自製品を開発していきます。 


2018年3月に 

<クラレ>は<住友商事>と 


タイの石油化学大手である 

<PTTグローバルケミカル>と 


タイで高機能樹脂を製造販売する 

合弁会社を設立すると発表しました。 


石油化学原料からできる 

耐熱性の高い「ポリアミド樹脂」や 


合成ゴムである「エラストマー」などの 

ブタジエン誘導品を製造します。 


2018年5月に発表した 

「2018年1~3月期」の連結決算は 

純利益が前期比3%増でした。 


アクリル樹脂や歯科治療に使う材料などの 

機能材料部門が市況改善や 

需要拡大を受けて好調でした。 


併せて 

2018年12月期の売上高予想は 

前期比18%増としています。 


活性炭大手の<カルゴンカーボン>の 

買収が完了したため 

買収効果を見込んでいます。 


2018年6月に 

<カルゴンカーボン>の買収が完了したため 

都内で事業説明会を開きました。 


<クラレ>の伊藤正明社長は…… 


「炭素材料などの機能材料を 

樹脂素材のビニルアセテートや 

イソプレンに次いで3つめの柱にする」 


と説明しました。 


アジアに強い<クラレ>と 

欧米が中心の<カルゴン・カーボン>が 

相互に補完し合うことで 


利益として2025年度に 

100億円の相乗効果を計画しています。 


<カルゴン・カーボン>との統合について 

<クラレ>の伊藤正明社長は 


「将来的には(統合も)考えている」 

と話しています。 


実際に統合することで 

<クラレ>が目指している 


3つ目の事業の柱にする可能性が高くなり 

今後のビジネスモデルが構築できます。 


(次回ブログ=7月9日月曜日投稿です) 

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『ビジネスモデル虎の巻』は8月出版!! 

 経営者の方が自社のビジネスモデルを 

チェックできる本になっています。 

(出版ブログ=火曜・木曜の投稿です) 

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このことから何を学べるでしょうか? 

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海外の会社を買収した企業は…… 

早期の段階で買収効果を 

出せるようにすることが欠かせない。 


買収効果を発揮するためには 

買収企業を統合させることが 

有効的な手段になる。 


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【ビジネスモデル9項目】 

◉理想のお客様◉協力者◉主要活動  

◉選ばれる理由◉収益 ◉チャネル 

◉提供する価値◉コスト◉経営資源 

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【経営の3原則】 

ミッション:会社の目的 

ビジョン :会社の目標 

バリュー :会社の行動指針 

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【ビジネスモデル進化論】 

強い者が生き残るのではない 

賢い者が生き残るのではない 

進化した者だけが生き残る 

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【ビジネスモデル活用法】 

現象をみるのではなく 

本質をみることで 

なすべきことが理解できる 

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【ビジネスモデル発想法】 

今日という日は 

未来のスタート地点である 

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経営コンサルタント(経営12ステップ) 

(社)ビジネスモデルイノベーション協会 

   公認ジュニアコンサルタント 

愛知産業大学 非常勤講師 

中部大学 非常勤講師 

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株式会社 未来デザインカンパニー  

代表取締役 渡邉ひとし 

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〔投稿内容〕 

投稿文の数字及び企業名などは 

日経新聞などの公開情報に基づいた 

記述に徹しています。 

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