こんにちは。
渡邉ひとしです。
第259話のテーマは
『大きな変革の時を迎えて』です。
(ブログ=月水金の平日投稿です)
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3年かけた「CI 計画」の導入
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前職の広告業界で担当した
「CI 計画」の仕事が印象に残っています。
1980年代は「CI ブーム」が起こり
「コーポレート・アイデンティティ」が
盛んに企業に導入されました。
<中部電力>の場合は3年間で
「CI 計画」の導入を完了しましたが
企画構想・立案・実施計画ともに
完成度の高い「CI 計画」でした。
当然のことですが
提案者側の一方通行になってしまえば
単なる絵に描いた餅になりますが
実行者の真剣な対応と
全社一丸となる取り組みがなされたことで
完成度の高さを感じました。
<中部電力>の沿革を見てみると……
戦前の「配電統制令」によって電力会社は
国家統制のもと統合されましたが
戦後のポツダム政令によって
全国9電力会社に移管されました。
そのため1951年5月に
<中部電力>が設立されています。
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<中部電力>のビジネスモデル
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戦後の地域分割により河川における
発電用水利権が決められましたが
木曽川は<関西電力>に引き継がれ
信濃川は<東京電力>に引き継がれたため
<中部電力>は水力発電による
電源の確保に苦しんできました。
そのため火力発電が中心になりますが
この地域の人口密度が高いため
火力発電に適した立地が
それほど多くありませんでした。
たとえば
愛知県の碧南火力発電所は
国内最大の石炭火力発電ですが
排煙や粉じんなどの問題がおこるため
常に最新の環境対策の設備に入れ替え
高い熱効率と大型電源により
供給力不足の解消に努めてきました。
しかし
火力燃料価格が上昇すれば
コスト面で<中部電力>は苦境に陥ります。
そのため2015年4月に
<中部電力>は<東京電力>と
共同出資会社の<JERA>を設立。
燃料調達事業や海外発電事業などを
統合することが目的になります。
その一方で
<JERA>のゴーデンカー会長は
「人口が減り省エネへの関心が高い日本は
成長市場になりえない」と述べています。
そのため海外企業の事業買収により
海外発電事業の収益を伸ばす方針です。
2017年度の海外発電事業の純利益は
150億円程度でしたが
2030年度の海外発電事業の純利益を
1200億円まで伸ばすという方針です。
2016年10月に
液化石油ガス最大手の<岩谷産業>と
提携交渉を始めました。
2017年4月から家庭向けガス小売りが
全面自由化になるため
家庭向けガス販売で実績のある
<岩谷産業>と組むことで
器具の保安などの業務体制を強化します。
2015年度に97万トンのガス販売を
2030年に300万トンにまで
拡大する計画です。
2017年4月より
外部の企業や大学などからアイデアを募り
事業の効率化や新規事業の立ち上げを目指す
オープンイノベーションに乗り出しました。
専用のウェブサイトを開設して
販売分野などの事業提案を募り
ノウハウを持つ外部企業との
事業化を目指しています。
同時に
業務全般へのIT活用を推進する
デジタルイノベーショングループを新設。
送配電や電力販売などの業務改革や
電力の需給調整にも
IT活用を推し進める考えです。
2017年3月には
<東京電力ホールディングス>と
「火力発電事業」を<JERA>に
統合することで基本合意しました。
このことで国内の50%を占める
火力発電会社が誕生します。
2017年4月に
<慶応義塾大学>や<日立製作所>と
サイバーセキュリティー分野で
共同研究を始めると発表しました。
サイバー攻撃の情報や対処法を共同研究して
対応力を向上するのが狙いです。
2016年度の電力販売実績は
前年対比0.1%減で3年連続の減少です。
電力の小売り自由化で他の電力会社に
切り替える法人顧客が増えています。
2017年4月に
ガスの小売りが全面自由化されましたが
<中部電力>の勝野哲社長は……
「一歩先を行く
総合エネルギーサービス企業グループを
目指し期待を超えるサービスを届けたい」
と決算の記者会見で述べています。
全面自由化された
2016年度の販売電力量は
<関西電力>を抜いて2位になりました。
<中部電力>は原子力発電所の比率が低く
液化天然ガス発電所を数多く持っています。
原子力発電所の停止の影響が比較的低く
他の電力会社がコスト増で悩むなか
電気料金への影響が低く抑えられています。
首都圏や関西圏への新規参入業者が多く
中部圏への進出が少ないことも要因です。
さらに
首都圏の<足利ガス>など
10社以上の中堅ガス会社と提携して
ガス顧客向けに電気を販売するなど
新たな顧客も獲得しています。
2017年5月には
「四日市火力発電所」内の敷地に
木質ペレットとパームヤシ殻を混ぜて使う
バイオマス燃料100%の発電設備を
建設すると発表しました。
2030年度までに全体の電力需要に占める
再生可能エネルギーの割合を
2016年度の約13%から
20%にまで高める計画をしています。
2017年6月に
<関西電力>と<北陸電力>との3社で
送配電部門の連携を検討しはじめました。
鉄塔や変電所などの送配電に関わる
設備の仕様を共通にして
調達や維持管理などのコストを下げます。
2020年4月から
政府が進める「電力システム改革」で
送配電部門と発電部門を切り離して
別会社にする法的分離が実施されます。
そのため送配電事業に関連する
電力会社の連携が今後も進みそうです。
2017年7月に
水力発電を強化する方針を示しました。
既存の水力発電所の設備を
最新式のものにして発電量を増やし
長野県と静岡県に新たに2基の
水力発電所の建設を進めます。
2017年11月には
小売り、送配電、火力発電の3事業を
分社化する検討に入ったと表明しました。
2020年に送配電部門を切り離す
発送電分離が始まることへの対策です。
<中部電力>の勝野哲社長は……
「新しいビジネスモデルを構築する。
持ち株会社化は選択肢の一つ。」
と記者会見で述べています。
2018年2月に
<大阪ガス>と首都圏で電力・ガス販売や
サービスを提供する新会社の設立を発表。
記者会見で勝野哲社長は……
「協力できる企業とはどんどん連携したい。
住宅や家電、通信、自動車など
あらゆる業種が候補だ。」と述べました。
2018年3月には
2020年代後半までの
長期経営指針を発表しました。
経常利益2500億円以上を目指しますが
その内訳は……
◉エネルギー事業(発電・販売・送配電)
1200〜1300億円
◉海外エネルギー事業
700億~800億円
◉IT関連の新事業
200億~300億円
さらに
「新たな事業形態や新規事業で
収益構造の変革を推進する」と表明。
<中部電力>は
『総合エネルギーサービス企業グループ』
を目指して
これから「新たなビジネスモデル」を
構築しようとしています。
(次回ブログ=4月23日月曜投稿です)
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このことから何を学べるでしょうか?
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大きな変革期を迎えた企業は……
自社の殻に閉じこもった考え方で
事業構造を変革するのではなく
協力できる企業と積極的に連携して
事業構造を変革していく方が
新たなビジネスモデルを構築しやすい。
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賢い者が生き残るのではない
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