こんにちは。
渡邉ひとしです。
第168話のテーマは
『課題に正面から取り組む』です。
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日本の技術者の海外流出が止まらない
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日本の家電メーカーが
低迷しはじめた頃に
韓国や中国から誘われて
日本の優秀な技術開発能力をもつ
日本の研究者や技術者が
大量に採用されていきました。
このこともあり
アジアの家電メーカーの
レベルが引き上げられたのですが
日本独自の技術開発力は
その後も、低下することなく
高いレベルで
維持されているのでしょうか?
日本の技術者のスカウトは
1970年代から始まり
2000年の頃には
大量の技術者が
中国、韓国、タイなどに
雇用されていたようです。
その頃の中国では
数千人規模の日本の技術者が
働いていたという
当時の証言もあるほどです。
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<JDI>のビジネスモデル
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2012年に
<日立製作所>
<東芝>
<ソニー>
3社の液晶事業を統合して
<JDI(ジャパンディスプレイ)>
が設立されました。
さらに歴史をたどると
<セイコーエプソン><三洋電機>の
技術者も社内に存在しています。
つまり
日本の電気メーカーに在籍していた
「液晶技術者」たちが
総結集している会社である
とも言えるのです。
しかし
冒頭でお話ししたように
数回にわたる
電機メーカーの技術者放出で
日本から韓国や中国へ
大量の技術者たちが流出しました。
言ってみれば
日本の液晶技術者たちが
それぞれの国を背景にして
戦っているようにも見えます。
現在の日本を代表する
液晶ディスプレーメーカーは
<JDI>に間違いありません。
その<JDI>が
2018年3月期には
4年連続の最終赤字に
なるような様相を見せています。
一方で
<JDI>が設立された
2012年に経営危機に陥った
<ルネサスエレクトロニクス>は
時価総額が1兆6637億円に
なるまで大きく回復しています。
<JDI>の時価総額は
1984億円という有様です。
<ルネサスエレクトロニクス>は
「半導体事業」ですから
「液晶ディスプレイ事業」の
<JDI>と同一視はできませんが
5年前の同じ頃に
<産業革新機構>から投資を受けて
それぞれ再生に向けて取り組んできた
同じ売上規模の2社ですから
何が大きく違うのか?
きっと
あなたも気になると思います。
<ルネサスエレクトロニクス>は
<日立製作所>と<三菱電機>の
「半導体事業」を統合した
<ルネサス テクノロジ>と
<NEC>の半導体部門を分社化した
<NECエレクトロニクス>が
合併してできた会社です。
したがって
<ルネサスエレクトロニクス>と
<JDI>とは同じ境遇と言えます。
<JDI>が低迷している理由は
ひとつは
『事業の先読みができない』
ことだと思います。
スマホ向けの売上比率が
80%強という収益構造ですが
<Apple>をはじめ
スマホのディスプレイが
液晶から有機ELへ転換されても
それに対応できていないのです。
「iPhoneX」の有機ELパネルは
韓国の<サムスン電子>が供給。
「液晶ディスプレイ」の技術に
絶対的な自信を持つばかりに
あらたな「有機ELパネル」の
開発と量産技術に出遅れました。
ふたつ目は
『膨らむコスト』です。
石川県にあらたな液晶パネル工場を
建設しているときに
<Apple>から
「有機ELパネル」変更の連絡が
あったにもかかわらず
工場建設中止の決断が出せないまま
工場の建設が完成してしまうのです。
まさに
「小田原評定」そのものです。
さらに
あらたな「有機ELパネル」の
研究開発費もコスト増大になります。
みっつ目は
『構造改革が進まない』ことです。
設立して5年経過しても
当初のままの状態が続いています。
引き継いだ工場と設備。
引き継いだ人員。
<サムスン電子>は毎年
数千億円の投資をして
工場や設備を最新のものに変えて
開発と大量生産に対応させています。
今年4月に
東入来(ひがしいりき)信博氏が
会長兼最高経営責任者に就任して
就任4カ月後の8月には
「構造改革の計画」を作りました。
いままで手付かずだった
「構造改革」に着手したのです。
◉スマホ依存からの脱却
◉有機ELパネルへの転換
◉旧式の設備の取り替え
◉在庫見直しの特別損失
◉工場の見直しと縮小
◉社員の3割削減
などなど。
先送りされてきた「経営課題」に
正面から向き合う覚悟です。
いわゆる
「決められない経営」から
「決断・断行の経営」へと
大きく舵を切ったことになります。
悠々自適の老後の生活を考えていた
<JDI>の子会社である
<JOLED>の社長だった
東入来氏に白羽の矢が立ったのも
この「勇気」と「決断」を見ることで
頷(うなづ)ける気がしました。
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このことから何を学べるでしょうか?
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企業にとって……
1社に依存する収益構造は
リスクがおおきい。
計画は……
あくまでも計画であって
環境の変化に対して
臨機応変に対応しなければならない。
企業は……
不必要な遠慮をともなう
「しがらみ」とは縁を切る。
経営者にとっては……
「勇気」と「決断」をもって
構造改革に取り組む
「覚悟」が必用不可欠である。
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【経営の3原則】
ミッション:会社の目的
ビジョン :会社の目標
バリュー :会社の行動指針
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【ビジネスモデル9項目】
◉理想のお客様◉協力者◉主要活動
◉選ばれる理由◉収益 ◉チャネル
◉提供する価値◉コスト◉経営資源
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【ビジネスモデル進化論】
強い者が生き残るのではない
賢い者が生き残るのではない
進化した者だけが生き残る
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【ビジネスモデル活用法】
現象をみるのではなく
本質をみることで
なすべきことが理解できる
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【ビジネスモデル発想法】
今日という日は
未来のスタート地点である
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経営コンサルタント
中部大学 非常勤講師
愛知産業大学 非常勤講師
岐阜県公認コミュニティ診断士
愛知県商工会連合会 EXPERT講師
ビジネスモデルイノベーション協会会員
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株式会社 未来デザインカンパニー
代表取締役 渡邉ひとし
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〔投稿内容〕
投稿文の数字及び企業名などは
新聞などの公開情報に基づいた
記述に徹しています。
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