経営には「理念」が必要であると、
セミナーや経営者交流会などで示され、
多くの経営指南書などにも書かれています。
あなたの事業が、より大きな成果を生み出すためには、
しっかりとした「理念」を掲げて、
経営をする必要があると言われますが…
今日はあなたと、「理念」について考えてみたいと思います。
【多くの企業が掲げている、見栄えの良い言葉を参考にする】
そこで経営者の方は、他社が掲げている理念を参考にして、
いろいろな言葉を書き並べ、それらの言葉を組み合わせて、
自社の経営理念にする、ということもあるようです。
でも、多くの経営者が、この「理念」の意味を
本質的に理解できているでしょうか?
おそらく、
「きれいな言葉が並んでいるから、これで満足。」
そう思ってしまっているのではないですか?
または、「理念って、何のことだか分かりにくい。」
そう、感じているのではないですか?
【理念を、分かりやすい言葉に置き換える】
『理念という言葉を説明してください。』と言ったら、
あなたは、どのように説明できますか?
あらためて質問されると、案外、説明しにくいですよね。
ですから、僕は、
「理念」という言葉を、「ミッション」という言葉に、
いつも置き換えて、お話しをしています。
「ミッション」・・・日本語に訳せば、
「使命」という言葉が浮かんできます。
そうです。
あなたの会社が、世の中に対して、
どのような使命を果たしていくのか?
社会の役に立つ会社でなければ
これからの会社は存続できないのです。
そこで、今日は、
あなたの会社の「ミッション」をつくるために、
確かな根拠となる、3つのポイントをお伝えします。
【他社では使えない「ミッション」をつくる】
一つ目のポイントは、『創業者と現社長の想い』です。
あなたが起業した会社であれば、
あなたが創業者ですから、
自分の想いを言葉にすれば良いのですが、
もしも、2代目、3代目の社長であるのなら、
創業者の想いと、自分の想いを、
うまく重ね合わせて、理念の言葉にしてください。
あなたが創業者であれば、きっと理解できると思いますが、
創業者には、会社や事業に対する、
「強い想い」を持ち続けているはずです。
その「強い想い」が、ミッションになるのです。
なぜなら、創業者が起業する時に考えるのは、
【お客様に喜んでいただきたい。】という「強い想い」があり、
会社を5年、10年と続けていけるようになると、
【会社が続けられるのは、お客様のおかげだ。】
という「強い想い」があるからです。
二つ目のポイントは、『会社のこだわり』です。
創業者が事業を興して、会社が継続していくと、
その会社には、独特な会社の空気が生まれてきます。
「企業風土」とか、「企業文化」と言われる、空気です。
いつか、「企業風土」と「企業文化」について、
あらためて、お話ししたいと思いますが…
自社の商品やサービスに対する
自社ならではの、「こだわり」です。
その「会社のこだわり」が、
独自のミッションをつくるために不可欠なのです。
なぜなら、我々の商品やサービスは他社とは違う、
そういう「強い想い」があるからです。
そして、それは、商品やサービスに対する、
考え方であり、やり方をしている、はずだからです。
最後のポイントは、『会社の約束』です。
それは、社会に対する「会社の約束」という意味です。
前にも触れましたが、
=社会に役立つ会社しか生き残れません=
しかも、鮮明に、役に立つことが見える、会社だけしか…。
なぜなら、20世紀後半の成長社会から、
21世紀前半の成熟社会へと、大きく社会が変化したからです。
これを、『ソーシャルシフト』と表現することがありますが、
従来の考え方や、方法論が、通用しなくなりました。
でも、安心してください。
そんな時代に変わったからこそ、
あなたにチャンスが、訪れた…とも言えます。
これら3つのポイントを、間違いなく踏襲して、
あなたの会社の「ミッション」をつくれば、
チャンス到来です!
【元はと言えば、同じ鉄道会社だったけれど…】
東京発の下りが30秒、
新函館北斗発の上りが25秒で、乗車券完売!
最近の、北海道新幹線のニュースを、
あなたは聞いたことがあると思いますが、
JR北海道も、JR九州も、
昔は「国鉄」と呼ばれた、同じ組織だったことも、
きっと、ご存知だと思います。
ところが、旧国鉄が、JRに変わってから、
この2社には、大きな違いが出てしまいました。
「ななつ星」が有名になった、JR九州は、
鉄道以外の事業にも積極的に取り組み、
自助努力の甲斐もあり、過去最高の売上を記録するなど、
順調に業績を伸ばしています。
一方、北海道新幹線の開通を頼りとするJR北海道は、
2011年に起きた、石勝線の特急列車脱線炎上事故から、
現在まで起きたトラブルは400件以上!
当然、売上も減少が続いていた状況でした。
そこで、JR北海道が着手したことは、
ミッション(経営理念)を改定することでした。
2015年4月より、新たな経営理念が掲げられました。
(詳しくは、ホームページに掲載)
「お客様の満足と感動の実現を目指す」という主旨の長い文章をやめて、
「お客様の安全を最優先に取り組む」という姿勢を、
誰にも分かりやすい、5項目の箇条書きにしたのです。
実は、すでに、JR九州は、
誰にも分かりやすい、簡潔な箇条書きの経営理念になっていました。
【ミッションは、社員全員の「共通の目的」にする】
どうでしたか。
あらためてミッションを考えてみましたが…。
ミッションは、決して、きれいな言葉を並べて、
長い文章にするものではないことが理解できたと思います。
ましてや、豪華な額縁に入れて、
社長室や応接室に飾っておくものでもありません。
最後に、ミッションについて理解しておく必要があることは、
ミッションが、社員全員の「共通の目的」であるということです。
もしも会社に於ける、社員全員の「共通の目的」が無ければ、
社員は、それぞれ、
どこへ向かっていけばよいのでしょうか?
会社のルールに従って、
それぞれが仕事をするだけで、
あなたは、その会社の目的が達成できると思いますか?
会社の目的が、毎年毎年、
変わってしまうと、一体どうなるでしょうか?
揺るぎない、変わらない、
『共通の目的=ミッション』があるからこそ、
ビジネスにおけるチームが、
仕事をする仲間が、
みんなで、同じ目標を達成した時に、
感動を分かち合えるのだ、と思いませんか?
『創業者と現社長の想い』
『会社のこだわり』
『会社の約束』
この、3つのポイントに、
経営者が本気で取り組むことで、
社員全員の、共通の目的である『ミッション』が、
やっと完成するのです。
たとえ多くの時間を費やしたとしても、
あなたが十分に納得するミッションができれば、
あなたの会社の「共通の目的」ができるのです。
あとは、この目的を達成すべく、
社員全員が、一丸となって立ち向かえば、
あなたの会社の【アカルイミライ】が、きっと見えてくるはずです。