初めてかける119番

救急隊の方が来てくれれば助かる
意識を取り戻してくれるはず
心臓マッサージとかドラマみたいにやってくれるはず

そう信じていた

手は震えていたけれどかなり冷静にやりとりをした記憶はある


うろ覚えですが
オペレーター(オ)と私の会話



オ「救急ですか?消防ですか?」

私「救急です」

オ「どうしましたか?」

私「夫が車の中で練炭を焚いて意識がありません」

オ「わかりました。お電話口は奥様ですか?」

私「はい」

オ「救急車を向かわせます。その間に旦那さんに声をかけてみてください。また、身体のどこでもいいので思いっきりつねってください」

声を再度かける
さっきより大きな声で

つねっていなかったので思いっきりつねる

反応がない

この時点でなんとなく私は彼の現状に気付いてたのかもしれない

身体が硬かった

死後硬直というものがコレなのではないかと思った
コナンでよく出て来るアレだ…

けどあくまで素人
プロがなんとかしてくれると考えていた


私「反応ありません」

オ「わかりました。ご主人の身体を車の外に出すことはできますか?」

試みたけれど60キロ近くの男の人を出すことは到底無理だった
身体に力の入っていない人間がこんなにも重いのかと驚いた

私「すみません、無理です」

オ「でしたら今脈があるか、呼吸しているかわかりますか?」

人の脈なんてとったことない
けどやってみよう

私「…多分…脈ないです。あと…呼吸もしてないです。でも分からないです。脈とかとったことなくて…」

オ「わかりました。もうしばらくで救急車到着しますのでそちらでお待ち頂いて、近くに来たら手を振って誘導してください」


間も無くして救急車のサイレンが聞こえてきた

来るまでの時間がとても長く感じたけどやってきてくれた

これで彼が助かる!!
なんとかしてくれる!!

手を振って駐車場まで誘導した