2017年の年末にRolferの研修を終了して帰国した娘が、2018年2月に初めて

このブログのキッカケをつくってくださったクライアントのEさんの施術に立ち会いました。

 

「本当に側湾だったの?・・・そんなふうに見えなかった!」

帰宅したとき、娘が発した嬉しい感想です。

 

中学で施術を開始した頃のEさんの身体は、足裏が正しく接地できず、

ウェストは大きく片側に湾曲して、左右の肩甲骨が大きな歪みを描いていました。

それでもEさん本人は、ほとんど”痛み”を感じることが無く、

ご両親や医師など周囲の大人たちが一生懸命になっている様子を

人事のように見ていたと話してくれました。

 

それが中学~高校の6年間、2~3ヶ月に1回の施術を繰り返す中で側湾の角度が減少し、

それと同時に徐々に”痛み”の感覚がはっきりとしてくるようになりました。

この間は辛い時期でしたが、それでもEさんは「手術をしないで善くなる」ことを信じて

自分なりの工夫で乗り越えてくれました。

本当に強い意志の人です。

 

大学生活の3年間は多忙なスケジュールのなかで、ほとんど施術に訪れることができず、

大学3年生後半になって、就職活動の追い込みと同時進行で、

社会人への準備のために施術を再開しました。

そして2018年の今、Eさんにとって最終段階とは”膜の痛み感覚”のコントロールです。

 

Eさんは今年3月に大学卒業し、すぐに社会人として赴任する予定です。

そのために、Eさんと一緒に試行錯誤しています!

きっとよいご報告ができることを信じています。

 

このブログは、中学1年生から施術を開始して約10年にわたる経過を

ご一緒している一人の”少女期側弯症”だった大学4年(現在)のEさんとそのお母様の

「現時点で進行中の”少女期側弯症”をもって悩んでいる方々の役に立ててほしい!」

という気持ちに励まされて始まりました。

 

それ以降、この小さなブログを見つけてくださったことがキッカケで側弯症手術を回避し、

私と一緒に励ましあいながら丁寧に日常とむきあってくださるクライアントの少女達と

そのご家族に支えられて、ブログを続けています。

 

第二次性徴の始まりとともに特徴的に急速な進行を伴う側弯症(突発性側弯症)を

私の言葉で表現した造語が”少女期側湾症”という呼び名です。

そこには、側弯症に悩む少女達に「時を待ってほしい」という願いをこめました。

 

なぜなら、あまりにも急速な側弯への変化と辛い痛みとともに過ごす日常に、

少女自身も、ご家族も、きっと未来が暗く映るだろうからです。

 

でも、その辛い痛みの中でも”よきケア”とともに少女期を耐えて”時を待って”くだされば、

女性としての成熟とともに側弯症回復への可能性が大きくなることを

お伝えしたいと強く願っています。

 

それは、青い果実が熟すことを待つ気持ちに似ています。

果実が青いときに急いても、よい結果を望めませんが、

時がきて果実が熟せば、思いがけないほどよい結果を得るように、

人の身体は”生き物”なのです。

現在という時間だけでは計り知れない可能性をふくんだ”生命体”なのです。

そして、その過程のバロメーターとして「月経と生理痛」があります。

 

だからこそ、その少女期という期間に”よいケア”と”励まし”をえることができれば、

少女期から成熟期への移行とともに身体の復元力が復活し、

”少女期の側弯”という症状が回復へと進んでくるのだと、

ほんのわずかな症例の中ですが身体という”生命体”の素晴らしさを

私は確信しています。

 

 

女性にとって、月経は”出産の練習”だといわれます。

 

出産には妊娠が必要ですから、ひとつ目は”妊娠のための練習”。

 

月経周期そのものは、卵巣で作られる2種類の女性ホルモン:

卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が

つくる、妊娠のための女性特有の生理サイクルです。

 

この月経サイクルが円滑に行われるようになるためには、

女性の身体的な発達や情緒的な安定と自律神経系のバランスなどが、

めまぐるしい日常生活の変化の中で滞りなく行われることが条件となります。

 

そのどれかに支障があると、数字では表すことのできない様々な”不調”が

誰にでも起こります。けれどまた、豊かな生命力をもって復活してくることも事実です。

 

その妊娠のための練習経緯は、天気によって”波立つ湖面の姿”と、

湖の深くにある”豊かな営みの姿”という二面性を映しているように思えます。

 

そして2つ目が”出産のための練習”。

 

実際の出産時には、”波のようなリズム”をもった子宮収縮の”陣痛”が伴います。

けれども、練習段階の月経(生理)時は”波のようなリズム”がありません。

子宮自身とその周辺を構成する靱帯や腹膜などの膜組織は、一旦始まった子宮収縮の練習を

24時間休むことなく2~3日、あるいはそれ以上頑張り続けます。

 

この”無休の収縮練習”が、現代女性の生活の中では”生理痛 (月経痛)”となって

現れる頻度がとても高くなっているようです。

 

月経の間、女性の身体では子宮を収縮させるために交感神経系の高い緊張状態が続いています。

実際の出産では、この交感神経系の高緊張状態が、ポジティブ・フィードバックという

生命危機状態をひきおこすレベルで行われます。

 

ですから、現代でも心臓に疾患をもつ方などにとって出産は”命がけ”でもあります。

昔から出産は「お母さんの命と引き換えに新しい命を産む」ものであり、

その自分の命をささげる母親の愛情の偉大さに誰もが心うたれたのでしょう。

ただ、それは生理的にはすべての女性が受け入れている”覚悟”でもあります。

 

その”覚悟”を受け入れているはずの女性の身体にとって、

現代生活の基盤が”男性”を基準としてつくられているために、

女性の身体でその基準を受け入れながら”女性として円満である”ことが

とても難しいと、月経を機にして身体からメッセージが届けられていると思います。

 

ですから女性自身が、女性の身体の特性を学び、

女性の身体が毎日頑張ってくれていることを積極的に知ってあげること。

そして、今何を必要としているかを感じ取ってあげること。

 

大変な日常の中で、その少しの優しさをもってくださることが、

身体には100倍の癒しになることを信じてください。

 

あなたの身体は、あなたが大好き!です。

 

 

”戌年(いぬどし)”の初めのテーマとして、少女期側湾症に多い「月経と生理痛」の問題を

2~3回でお話したいと思います。

 

今年の干支”犬”は昔から”安産”の象徴で、妊娠のお祝いや出産の祈願に

可愛い”犬張子”を飾ったりしましたし、”犬がするような安全で易い出産でありますように・・”

という願いを込めて、妊婦さんが妊娠5ヶ月のころの”戌の日”に”岩田帯”と呼ばれる

腹帯を巻きました。

 

犬にだって難産はあるでしょうが、直立生活の中で10ヶ月の妊娠期間を過ごす

人間の出産からみれば、犬たちの出産が安らかに見えていたのでしょう。

 

何故、私たち人間の出産が助産を必要とするような”難しいもの”になっているのか?

その理由を知ることは「人間とは何者であるか?」という哲学的な領域にもわたる

難問であるようです。

ただ、私たちは胎児として住み慣れた母体から”出産”という通過儀礼をとおして

誕生するとき、子宮の底を足場にして直立するように伸び上がって生まれ出ようとします。

その出産のとき、人間の胎児は*哺乳類としては唯一「お母さんの尾骨の方向に頭をあげる」

ように 母体から生まれ出るのだといわれています。

それが、人間が社会性をもつ原因になった・・という見解も聞いたことがあります。

                  *セキツイ動物は「哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類」の5種類

 

そんな人間の”女性”は、第二次性徴期から「月経」とそれに伴う女性特有のさまざまな

身体的・精神的変化とむきあって暮らしていきます。

 

特に「雇用均等法」という法律が制定されてからの女性にとって、男性と違う身体をもっていることが

”オフ・レコ扱い”になったように思えます。つまり、女性と男性の違いを表だって語ることが

マイナス要素として扱われているようです。女性が女性としての”身体的な特徴”を

カミングアウトしなければならないような現実は、どこかに無理を抱えていると考えています。

 

そうした女性としての身体的特徴を無視するような認識自体が、”目には見えない”けれど

少女期の女性達の”柔らかく、大切な”何かをゆがめていく”抑圧”になっているのでは

ないだろうか?と思わずにはいられません。

 

少女期の女性達の身体は、植物に例えれば”土の上に芽を出し始めた苗”のように

デリケートな要素を多く含んでいると実感しています。

それが、少女達自身でさえ感じているとは気づかないような”抑圧”を吸収して、

必死で回避しようと身体をゆがめていくのだと思えるのです。

 

女性が”女性としての身体”を持っていることを、もっと”おおらかに”自覚し、表現できるような

日本になりますように!!!

 

それが「月経と生理痛」の根底に流れる問題の最初にお話したいことです。

 

                                              K.

2017年は、少女期の側湾症と向き合ってきた私にとって大切な1年になりました。

同時に、2018年への期待も膨らんでいます。

 

今年は、今までより積極的に、現在進行形の”変化”のプロセスの少しを

皆さんと共有していきたいと思います。

 

お伝えすることのすべてが”実際に起こったこと”ですから、

一つ一つを大切に、言葉を選びながら書いてみます。

 

リアルタイムに「少女期の側湾症」で辛い気持ちを抱えていらっしゃる方々への

”小さな希望”になりますように!

 

今年も、どうぞよろしくお願いします。

 

K.

第二次性徴のころを境に急激に進行する「少女側湾症」ですが、その時期に手術を回避して乗り越えられた女性の方々も、少数ですが施術させていただきます。

 

少女達の身体組織は、林檎でたとえるなら「青い、未成熟な」硬さをもっていて、脊柱周囲の組織に関わるためには大変な時間を要することが普通です。

 

それに比べて、大学生以上の女性の身体組織は「成熟」の香りが漂うような、柔らかさを帯びています。そのため、組織へのアプローチは体の小さな少女達より楽に感じますし、実際に変化の速度も速いといえます。

 

少女でも大人でも、クラブ活動やジムなどで頻繁にスポーツをなさっていらっしゃる方々のほうが身体組織の変化速度は、やはり速いといえます。一般的に、側湾症の少女達は運動が苦手のようですが、もし運動が好きな方であれば是非スポーツで身体をいきいきと使ってくださることを願っています。その場合、「呼吸」の大切さを忘れないでください。「呼吸」が脊柱を支えてくれる動き自体が側湾症を改善の方向へ導いてくれるはずです。

 

先日、初めて「妊娠・出産」のご経験をもつ側湾症のクライアントさんがみえました。この女性もピラティスをなさっていましたが、なによりも「妊娠・出産」がもたらした体幹への良い影響が感動的でした。

 

一般的には、妊娠中の妊婦は大きなお腹に胎児をかかえて大変な負担がかかっている・・と考えますが、その多くは出産にむけたホルモンによる靱帯のゆるみからくる負担感のようにおもいます。

 

それ以上に、妊娠中、特に妊娠後期の胎児たちは、お母さんの体幹部を内側から支えて、お母さんを助けているのです。特に、恥骨から横隔膜にわたる腹腔の空間的な広がりは、すばらしいものがあります。そのクライアントさんの腹腔にも、子供達からの素敵なプレゼントが残っていました!

 

側湾だから妊娠できない・・・という言葉を、私は信じていませんでしたが、それでも本当に経験されたクライアントさんの身体からいただいた喜びは、大きな宝物でした。

 

有難うございました。

                                             

少し、自慢話になってしまうようで・・・


ブログに書くことをためらっていたのですが、考えてみれば!そもそも!


このブログは実際に側湾症を克服した女性と、そのお母様に支えられて、


たった一人でも”必要としている少女側湾症の方”に届くことを願って始めたことでした





ひと月より少し前に、”少女側湾症”のお嬢様をもつお母様から


施術へのご丁寧なお問い合わせをいただきました。


勿論、その時々に必要なお返事をするよう心がけているのですが、


少しでも理解をいただけるように”このブログ”をご紹介させていただきました。



その折に「娘ともども・・読んでいます」という一言を初めていただきました。



私にとって嬉しい一言でした。


そして、ブログを応援してくださっているクライアント親子様にも


「ブログがお役に立っています」と、お伝えしたくなりました! 




・・・というわけで、この記事になりました。


本当に、ブログをつくってよかった!と思っています。


ご覧くださっている皆様。 応援、有難うございます。



これからもご一緒に、小さな喜びを丁寧に積み上げていきましょうね。




エピソード9で、2016年3月にいらしてから、

あっという間に7月の暑い日になりました。

この4ヶ月の間に、彼女は2回のクレニオ・ワーク

受けてくださっていました。




クレニオ・ワークは、脳髄液という頭骸骨の中を満たしている

液体の環境を整えていく微細で深~~~いアプローチです。


一般的には、ストレスなどの高緊張や 交通事故などの衝撃が

原因して、正常値に戻りにくくなっている脳神経作用的な悪循環を 

穏やかに戻していく効果が期待されています。


どちらかというと、元気ハツラツで丈夫な方よりも、

病弱であったり精神的に繊細すぎて”外的な刺激”に

過敏に反応してしまうような状態のときに、

クレニオ・ワークは驚くほど効果的に作用します。



ですから、長年にわたって側湾症を患った方々の最深部には、

クレニオ・ワークを必要とする”わだかまり”のような部分が

潜んでいることが多いのです。



けれども、彼女の最深部は、一般の方々以上に

穏やかさと伸びやかさをもっていることが

2回のクレニオ・ワークをしていくなかでわかりました。


ある意味で「嬉しい誤算」です。




4ヶ月ぶりのワーニッツ(圧を利用した施術)を終わって立ち上がった

彼女の伸びやかなウェストのカーブが、

とっても誇らしげに見えました


もしかしたら、少女側湾を改善していく7年以上の歳月のなかで、

彼女自身の身体がつちかった復元力がイキイキと

働いているように感じます。




帰り際、「もっと沢山の人(少女側湾で手術を考えている方々)に

教えてあげたい・・」と言ってくれた彼女の言葉に励まされて、

ブログにUPしました。


お役にたてますように。                    


                                                  

2015年4月、大学2年生で”少女側湾卒業”し、

8月に カナダ短期留学へでかけた女子学生さんが、

お約束していたカナダの美味しい!お土産をもって

お越しくださいました。

(エピソード6を参照ください)

出発前、彼女が少し心配していた側湾傾向も全く問題なく、

それどころか、ひとつ夢を叶えた彼女には明るさと自信が

滲み出ていました。




もちろん、身体もますます順調に回復度をましていました。

わずかに・・・右側後部の胸郭に”少女側湾のなごり”のような

ふくらみを残していますが、施術後はそれもほとんど目立たなく

なっていたほどです。



今回は、脇下から上部位に残った”少女側湾のなごり”といえる

緊張感と、それに伴う筋繊維の微細な痙攣反応が特徴的でした。


以前にもお話したかもしれませんが、

第二次性徴とともに急激に進行する”少女側湾”の症状は、

もっとも奥深くにあって生殖機能の成長を阻害しています。

それは、側湾という構造的鬱屈による

女性器そのものの成長不全もありますが、

それ以上に長期にわたる高度の緊張伝達が引き起こす

脳下垂体の機能不全からおこるホルモン障害もあります。




そして、この長期にわたる高度の緊張伝達による

脳下垂体の機能不全や女性器への鬱屈は、

形状の側湾症を見せる少女達だけでなく、

ごく普通に成長していると・・・思っている現代少女達の中でも

慢性的に起こっていることだと推察しています。



少女側湾が、少女から女性への成長過程に現れるものである以上、

身体形状だけの回復だけではなく、生理的な機能の改善もふくめて、

”彼女らしい”姿にたちもどることをサポートしていきたいと

願っています。





以前の記事の中で、あくまで経験的な見解ですが・・・


女子の側湾症に比べて”男子の側湾症”が自然治癒する可能性が

高いと書きました。



けれど時折、明らかに側湾症による身長の制限を受けられたと

思える男性に会うことがあります。


少なくとも、直接知り合った”側湾症の男性”は、

大変に優秀な方々ばかりです。


もしかしたら、その細やか過ぎるほどの気遣いや心配りが、

幼い頃から側湾症に拍車をかけたのではないかしら?と

思えるほどに万事によく気配りをされる優しい方々だと思います。




私達にご相談をいただく側湾症や側湾傾向の強い男子たちも、

優しい、気遣いの細やかな真面目で小柄な男子が

多いように感じます。



ところが第2次性徴期になると、月1回ほどの施術を数回も

しない間に、もちろん優しい性格はそのままですが、

”雨後の筍”のように、どんどん身長が伸び始めます。


きっと、

施術がなくても”本来の身長”になるはずだったのかもしれません。



けれど、もしかしたら・・・

少しは、施術が身長を阻むような”こわばり”を解きほぐして・・・

筍に降った雨のように働きかけているのかもしれない。

とも思えるのです。



こればかりは結果論ですが、”男の子”が”男性”に成長する

第2次性徴の時期に、その子本来の身長になれる

お手伝いができるなら、こんな嬉しいことはありません。



少なくとも”その人なりの伸びやかな肢体”が形成される時期に


よいヘルプに恵まれる子供達が増えてくれることを願っています