その時彼女は・・・。(ノンフィクションシリーズ)犬の散歩編 | 野に咲くすみれ(r-m-m-mama-2)のブログ

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 犬を飼っていると、1日に2回の散歩は飼い主の義務であり、犬の権利になる。もちろん、距離や時間は犬種や性格で違ってくるが。

 

 彼女の犬はとても大きい。「スパイファミリー」のボンドのモデルともいわれている。ボンドのような黒い靴下は足には履いていないが・・。しかもあんなにかしこくはない。衝動性が強く、突然車に喧嘩を売って向かっていったりする。「犬を穏やかで利口にしたいなら疲れさせること」というトレーナーの助言もあり、1回に1時間は歩かせたいと思っている。もちろん、季節や天気・気温で日々変わってくるが。

 

 毎日のことなので、どうしても普段は近場になってしまう。幸い徒歩圏内に結構大きな公園があるので、そこに行くことが多い。そんな公園で彼女は見たくない現実を突き付けられることがある。

 

 すべての生き物は食べないと生きていけないという大自然の摂理と、弱肉強食の世界だ。

 

 そう、田舎とはいえ町中の公園に、たくさんの羽が飛び散っていたり、時には亡骸やそれを食い散らかした跡が見つかるのだ。もちろん年に1・2回あるかないかではあるが。

 見つけたくないし見たくもないけれど、公園はいろんな生き物の狩場なのだろうと思う。

 

 雑草の中の虫やミミズを食べるハトやスズメ。その自分より小さな鳥を襲うカラスやいたち、野良猫。残酷だという思いで目をそむけたくなるけれど、私たち人間も、その自然の一つの歯車であることは間違いない。

 

 まだ5年と短い犬生の中で、1度といわず2度、その亡骸を咥えた愛犬を時には嫌悪したくなるが、彼もまた獣なのだと納得するしかない。どうやって誰がそれを吐きださせたかはすでに記憶にはない。怖すぎて覚えていられなかった。覚えていたくなかった。

 

 愛犬はその都度ひどい下痢をした。それもまた嫌な思い出だ。

 

 彼は拾い食いが得意で、生け垣のなかでひっそりと生存していた名前もわからない白いキノコを少し食べて、やはりひどい下痢をしたこともある。彼女が止めなければ夫は、「キノコだからいい」とそのまま食べさせようとしていた。あの時取り上げず、全部食べていたら毒で死んでいたかもしれないと思うこともある。

 

 たかだか公園の犬の散歩だが、世の理(ことわり)が詰まっているかもしれないと、彼女はちょっと哲学者気分を味わうのだった。

 

 などとちょっとばかり格好をつけてみても、鳥が大の苦手で怖い彼女は、いつも鳥におびえながら散歩をしているのだった。たくさんの羽や亡骸などはよけいに見たくない。だが、愛犬より先に見つけないとという思いから、どうしても探してしまうことになり、誰よりも早く見つけてしまう悲しい性(さが)なのだった。 

 

 

 

*( )の中の読み仮名は、後で自分が読めなくなりそうなのでつけています。漢字への変換はパソコン先生がしてくれますが、読むのは自分なので。漢字の読み書き、忘れてしまうお年頃です。(;´д`)トホホ