人は産まれてこない方がよいのか ~反出生主義~ | 小日向るり子の徒然ブログ

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心理カウンセラー小日向るり子のブログです。
職業「カウンセラー」としての枠を少し外して、人間心理、人間観察、恋愛心理、日々のことなどをつづります。

カウンセラーって人のネガティブな感情を聴くことが多いから、自分が病んだりしませんか?
と聞かれることが時々あります。

どこからが「病む」という概念なのかは個人差があるのであくまでも私の感覚ですが、この職業をしていると心が病んでくるか、と問われたら、こたえはNOです。

しかし、自分はこの職業をしてから『反出生主義』の思想に親和性が高くなっていることに気付きました。
改めて「気付いた」というのは、つい先日AbemaTVを見るまでこうした思想が「主義」として確立されていることを知らなかったからです。

私もまだまだ勉強不足なのですが、簡単にいうと反出生主義とは子供を産むことを良しとしないという主義のことです。
代表的な提唱者であるデイビッド・ベネター氏は
「人類は絶滅してしまう方がよい」
と結論づけているそうです。
さらに鋭く言ってしまうと、これはabemaTVで哲学者の森岡正博氏が仰っていたのですが、人間(女性)は子供を産む権利はないということが反出生主義の核となる思想だそうです。
ちなみに、子供を産む産まないの選択権がどうということではなく、そうした選択権を持つことは「チャイルドフリー」とよばれる思想で反出生主義とはまた別だそうです。

突き詰めると過激な主義だと思う方もいるかもしれませんが、今よく言われるところの
「生き辛さ」
という言葉も反出生主義につながる感覚なのではないかと思います。

ただし、間違えてはいけないことは、この主義はすでに生まれてきた人に対して生き続けること、あるいはより良くいきようと模索することを否定するものではないということ。
番組内では、この主義が自死を肯定したり推奨したりするものではないと明確に伝えるために、この箇所は森岡先生も反出生主義側の出演者さんは皆さん強く仰っていました。



偶然にも、私が時々行く温泉宿に宿泊者が自由に読めるマンガや本が置いている棚があり、そこで最近は手塚治虫さんの「ブッダ」を読んでいました。
しかしなんせ月に1度程度の一泊二日の中で、10巻以上あるブッダを読破するには至らず、物語が遅々として進まずにモヤモヤしていたので、先日思い切って中古でブッダ(文庫本全12巻)を大人買いして読み始めたところでした。

今は3巻が読み終わったところなのですが、後の釈迦であるシッダルタがちょうど出家をしようとするあたりを読んでいます。
まだ途中ですし、漫画ですので脚色や手塚治虫さんの思想も入っているとは思うのですが、この中で
「苦しみを積極的に受け入れる」
という後の核となるであろうシーンが出てきます。

当時のカースト制度において、バラモン(宗教者)という身分がありますが、この身分に関係に関係なく坊主となるために修行をしているサモン(沙門)が、かつて若きシッダルタと愛し合ったものの、奴隷という身分がゆえに結ばれず、現在は盗賊となって生活しているミゲーラという女性とかわすセリフがあります。

ミゲーラは、
「今の亭主と一緒になる前にある身分の高い人(シッダルタのこと)を愛してしまったが故に拷問を受けて目をつぶされてしまった」
という自分のエピソードをサモンに話します。
そして、それは今でも自分の苦しみであること、そしてこんな山賊家業をしているのも苦しみを忘れるためだと言うのですが、それに対してサモンはこう言うのです。
「苦しめるだけ苦しめばいい。そうすればむくわれるだろう」
と。そして
「どうしてなの?」
と尋ねるミゲーラに
「一生苦しむことによって死んだ後にむくわれるからだ」
と。

「この世でしたことは次に生まれるときにむくいを受けるのだよ。悪いことをすれば死んだ後に不幸な人間に生まれ変わるのだ」と。
そして、あなたが今こんなに苦しいのは全世でしたことのむくいなのだが、苦しんで、苦しみ抜いて耐え抜いてみれば来世でいい人間に生まれ変わるだろうと説きます。

死んだ後のことなんて誰にもわからない。
輪廻転生というのも本当にあるのか、これも真実はわからない。
しかし、そうだとすれば、ロシアンルーレットではあるものの、苦しみ抜いた全世を持つ人はいい人間として生まれ変わることができるということになるのだろう。
まあ、そのロシアンルーレットに乗っかるべきではないというのが反出生主義なのですが。


カウンセリグをしていると、いかにみんな生き辛さを抱えてながら生きているのか・・・と思うことばかりです。
お金があっても、結婚していても、恋人がいても子供がいても、マイホームがあっても、そんな「有る」は当人にとってはなんの有るでもなく、今確実にあることは、目の前にある悩みがあるということだけ。
自分がどうであるかはさておき、やっぱり私自身はこの仕事をしていくなかで、生きていくということは苦しみが多いのだな、と感じることが多くて、それがもともとの性質と相まって、反出生主義的な思考に傾かざるをえないというのが正直なところです。


しかし、ブッダを読みきったらなにかまた新しい発見が自分の中に起きる気がしてします。
手塚治虫さんの漫画は代表的な作品、たとえば「ブラックジャック」とか「火の鳥」とか「鉄腕アトム」などは読んだことがないのですが、「きりひと賛歌」を先日読み直したあたりからハマっていて、医師免許を持つ手塚治虫さんが、ブッダの誕生から死を描くことを通して私たちになにを伝えたいのか、をしっかり読んでいきたいと思っています。

 



あと余談ですが、反出生主義の回で司会をされていた柴田アナウンサーは少し我が強すぎると感じました。
司会者は基本的には我を出す存在ではないし、まだ小倉さんやみのもんたさんほどの域にも達してはいないだろうよと。
というか、我を出してももはや苦笑いで許されるのは田原総一朗さんの朝まで生テレビだけでしょう(笑)
平石アナウンサーはやっぱり上手だと思います。

 

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「ロミオとジュリエット効果」小室圭さんと眞子さまに当てはまる?

 

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