部署やチームを任されたばかりのとき、
熱い想いを持って
部下を育てるために

ああしよう、こうしよう、と
肩に力が入ったまま
指導しようと考えがち。

 

 

 

自分の描いた「上司」の理想像に向かって
全力を注ぎ、

理想像への進み具合が遅い部下がいると
「何か問題がある」、という
前提で物事を考えがち。

 

 

 

もし、そういった状況になったとしたら
一度、立ち止まって
状況を見直して欲しい。

 

 

 

 

上司の想いと部下の想いは
往々にして、ズレている。

 

 

それは部下を見る視点から翻って
自分が上司から見られる視点に立ってみると
わかりやすい。

 

 

上司と似ていることはあったとしても
全く同じ、ということは
ほぼ、ない。

 

 

 

部下が描く将来像(キャリアプラン)、
仕事に対する興味、
感じているやり甲斐、
仕事に関連する予備知識、
学んで成長していく意欲。

 

 

これらのバランスによって
仕事の取り組み方が変わる。

 

だから、「問題がある」のではなく
単に「違いがある」というだけ。

 

 

 

稀にいる、
すべてが高い部下であれば、
 

上司の熱い想いをぶつけたら
いい反応が返ってきて

 

大きく伸びると思う。

 

 

そういった部下は稀。


いずれにしても
基本は、部下に合わせ対応した方が
現実的。

 

 

 

ここからは、経験談。

 

 

意欲が高い部下にはどういった指導をしたかというと、
課題を認識、共有し、
解決に向けたヒントを出す。

 

 

例えば、参考にすべき情報や
勉強すべき事柄、
教えを乞うべき人物などを伝える。

 

すると、その後は
自分で進めていくようになる。


成果につながったときや、
次の壁にぶつかるタイミングで
また相談を受けたら、
ヒントを出せばいい。

 

 

こういったタイプは必要以上に踏み込まない。

 

 

 

 

逆に、
「何をしたら良いかわからない」
更に
「何をすべきか質問をしてこない」
という部下もいた。

 

 

こういったタイプは少し注意が必要。
どういった状態なのか、細かく見る必要がある。

 

 

 

個別に時間を取って
場所も変えてマンツーマンで、順序立てて説明し
日々進捗の確認をしてみた。

 

 

教えた内容に対して
「わかりました」
と言うので、

理解できたんだろうと思って
次の段階に進んでいった。

 

 

ただ、三歩進んで二歩下がる、的なことが続いたので
理解度に疑問をもったある日、

教えた内容を
「今度は、わたしに向けて説明してみて」
と言ってみた。

 

とたんに、部下は言葉に詰まった。
緊張もあるだろうと思い、雑談も入れながら、
休憩もはさんで試してみたが、ダメだった。

 

結局、伝えたいことが伝わっていなかった。

 

 

 

そして、これは本当に自分自身が反省すべき点だったのだけれど
当初より、なんとなく会話が噛み合っていなかった。

また提出された文章もまとまりがなく、
伝えたいことが何なのか、使っている言葉の意味の
取り違いも多かった。

ただ、慣れていないんだろう、と思い込んで
当初は、問題として認識できていなかった。

 

でも、ある時点から
細かく確認したり、わたしに向けた説明を促したりした際に
ようやく、わかった。

 

文章の読解力が足りていなかったのだ。

「そこからかい!」
心の中で大きくツッコんだ。

 

 

 

聞くと、ニュースは見ない、
新聞も本も読まない、とのことだった。

 

中退ではあったけど、四年制の大学に通っていたのに
本は中学生から読んだ記憶がない、とのこと。
 

それは、伝わることも伝わらないはずだ。。。

 

 

 

大きな衝撃を受けつつ、立ち止まっている訳にもいかないので
対策を考えた。

 

 

「業界紙の情報を発表し、部署のメンバーで共有する」
という目的を設定し、
その準備として、「新聞を読む」という流れを作った。

 

 

会社で購読している業界紙を持ち帰り、
通勤時間などを利用して読み、
日々の業務に関連がありそうな部分をまとめ、
発表できるよう情報を整理する。

 

これを続ければ、少しは良くなるだろう、、と。

 

幸い、業界紙は「繊研新聞」という新聞で
ページ数も文字数も少なく、日経やWWDに出てくるような
難しい単語やカタカナ英語はあまり使われないので
ちょうどいいと思っていた。

 

 

新聞は持ち帰る、
でも一向に発表するネタは出てこない。

 

 

「新聞読んだ?」とか、
本人が好きだと言っていたブランドである
シュプリームの記事が載っていたとき、

それについて聞いてみても、
どうも読んでいる反応ではない。

 

 

 

そのうち、新聞自体を持ち帰らない日が増えていった。

 

 

 

忘れっぽいのか、
やる気の問題なのか、
それ以前の問題なのか、

わからないけど、
とにかく、一度も業界紙の情報が発表されて
部署内で共有されることはなかった。

 

 

 

朝イチの朝礼の中で
スピーチや情報共有する機会が
あるのに、である。

スピーチは当番で行うのに、である。

 

 

 

 

ここまでくると、もうお手上げ。
さじを投げた。


管理職はよく、部下のやる気をいかに引き出すか、
とか書籍なんかに書いてあるけど
「1」から伸ばしていくのは管理職の指導の範疇だとしても、
「0」から「1」にするのは、本人の問題だと思う。

 

 

 

あえて、両極端な例を出してみたけれど、
上司から部下への教育指導について

部下の能力や考えがそれぞれ異なる点を認識することと
部下の成果や成長を上司が全て背負う必要はない、
ということをお伝えしたい。

 

 

 

時間も体力も精神力も限られているので、
より多くの成果につながることを選択し、
そこに手間を掛けていく決断をすることが
必要なんだと思う。

 

 

 

例示した後者の部下には、
半年間、みっちり時間を注いだけれど

そのような感じだったので
その後はキッパリ、個別に時間を注ぐのはやめ、
別の部下に時間を割くようにした。
 

 

 

大きな衝撃を受け、
何とも言えない感情になったけど
現実は受け入れるしかなく
その上で決断していくほかない。

 

 


最後までお読み頂き、ありがとうございます。

マネジメントでお悩みの方、
管理職になって日が浅い方、
上司の考えに「?」と思っている方、
カッチカチに古い体制の会社に疑問を持たれている方、
などなど。

お仕事でそんなお悩みを持たれている方に向けて
発信していきたいと思います。

 きのした