精神科では他の科と違い、精神保健福祉法に基づいた入院となります。
入院形態は
・任意入院
・医療保護入院
・応急入院
・措置入院
・緊急措置入院
になります。
私の病院ではほとんどが、任意入院、医療保護入院で、年に数件措置入院があるかなーくらい。
応急入院と緊急措置入院には出会ったことありません。
これとは別に罪を犯した方の、病気の精査や判断能力、責任能力をみる鑑定留置も過去見たことがありますが、件数はほとんど経験ありません。
本人の同意に基づいた入院は任意入院だけで、その他は患者さん本人からすると強制入院となる形です。
医療保護入院より下(鑑定留置は違いますけど)は、精神保健指定医の資格を持った医師の判断が必要となります。
強制力をもつ入院形態では本人の意志が入院継続に反映されない入院形態ですが、そのほとんどが医療保護入院という形で、この入院形態の同意者は家族になることがほとんどであることを考えると、本人、もしくは家族の同意のもと入院加療が行われています。
任意入院は原則、いつでも退院できます。
逆を言うと、入院や治療内容に同意している方、という認識です。
一貫した同意が得られない方は家族同意の医療保護入院になることが多い印象です。
認知症の方などはこのケースが多い印象です。
私の病院の病棟は、閉鎖病棟になっています。
開放病棟を有していないため、精神科へ入院となる場合は閉鎖病棟になります。
任意入院の患者さんは原則として開放処遇(病棟の自由な出入り)を制限することは出来ないんですが、閉鎖病棟のシステム上一定の不具合が生じることは了承を得た上で入院となります。
また、任意入院でも本人の病状を加味し、病棟の出入りに、ある程度制限をかけた方がよさそうな場合には精神保健指定医の権限で開放処遇の制限をかけることが出来ます。
医療保護入院の患者さんは原則として、開放処遇の制限がかかっています。
本人のみでの自由な出入りはできません。
家族と一緒、もしくは医療者との出入りとなります。
検査のため、他科受診のため、病棟の外にでる場合にはその辺の違いを理解した上で付き添いを行わなければ、事故に繋がることがあります。
一番多いのは離院です。
要するに逃げ出すことです。
任意入院の患者さんが逃げる事は、そこまで問題ではありません。
自分の意思での入院なので、治療継続の意志がないと見なされるだけです。
医療保護入院の場合は違います。
本人にとっては強制入院、ある意味入院に拒否的である患者さんであることは前提にあるわけで、逃げることも予測しておかないといけないことなのです。
病院の責任問題になります。
警察との連携も必要になります。
たまに、よくわからないケースもあるんですけど。
昔、家族同意の入院で、家族と病棟の外に出た際に、何故か患者本人に札束を渡し、本人が走って逃げてタクシーに乗り込み逃亡した、というケースがありました。
なにはともあれ、医療者が一緒に出る際には、患者さんの後ろを歩くのは基本です。