幻聴・妄想に左右された患者さん
抑うつが酷くベッドから起き上がれない患者さん
気分高揚がありハイテンションに動き回る患者さん
認知症で記憶障害がある患者さん

精神科では、セルフケアという観点での介入は看護師の仕事の中でもかなり重要な1つになります。

抑うつが強い患者さんは、意欲低下、食思不振、倦怠感を認め、清潔にたいする行動や食事摂取量が低下する事が多いです。

介助浴に設定したり、歯磨きの声かけ、食事は必要時濃厚流動食(ハイカロリーなジュースのようなもの)を検討したりします。

幻覚・妄想に左右された状態である患者さんは意識を幻聴・妄想に取られ、日常生活がままならない患者さんが多いです。

ご飯をご飯と認識できずに食べない、混ぜる、場合によると見向きもしない。
声かけ、介助が必要です。
排泄にも意識がいかないので、定期的な誘導が必要です。
清潔ケアも全介助となることが多いです。

気分高揚の患者さんも、色々なイメージが頭に浮かび続け、そちらに意識を奪われることがあり、1つの動作に集中できません。
声かけ、介助が必要になります。


これらの患者さんは、症状が落ち着いてくれば自分で出来るようになっていきます。
症状に応じてアセスメントをし、適宜介入方法を考えていきます。
多少、過保護気味でも短期間ならそこまで問題にはなりません。(ケースにもよりますけどね)

認知症の患者さんは少し違います。
(認知症ではない高齢の患者さんにも当てはまります)

認知症は進行していく病気になるので、入院中にセルフケアが向上するということは前述の患者さんに比べ微々たるものになります。

それどころか、看護師の介助が患者さんのセルフケア能力を奪っていく場合があります。

そのため、過不足ない介入が必要となってくるのです。

看護師さんが何もかもしてあげる、というのは患者さんの今後を考えると正しくないです。

きついと訴えるからと、歩ける患者さんを車椅子ばかり使って移動させてあげていると、気付けば本当に歩けなくなっています。

靴を履かせてあげる、布団を掛けてあげるなどなど。
これもです。

してくれないから意地悪か、という問題です。

ある意味、してくれない方が親切なんです。

だって、車椅子で連れてったり、靴を履かせてあげたり、してあげた方が仕事は早く進みますもん。

でも、患者さんのことを考えて、しないんです。
伝わらずに、意地悪ね!と文句を言われたこともあります。
どんな風に伝えれば、伝わるのでしょうか。

まさか、自分が思っている以上に身体はあっという間に落ちていくんですよ、なんて言えませんしね。