統計的にPTSD患者さんは増えており、

平成11年の患者数0.1万人から平成26年0.3万人となっています。(厚生省労働省「患者調査」)

 

 これはPTSDを引き起こすような事件・出来事が増えているわけでは無論なく、診断される件数が増えていると解釈されます。

 

 

 以前に比べて、「PTSD」や「フラッシュバック」といった言葉が広く認知され、また治療対象として認識されたことが大きいと思います。

 PTSDで悩まれている方の中には、社会的機能が高い方も多く、悩まれながらも受診には至らなかったケースが多かったのでしょう。

 

 

 最近は、診察室における実感としましても、「PTSD」という診断には該当しないとしても、「フラッシュバックになやんでいる」という訴えは、10年前に比較してもはるかに増えていると感じています。

 

 

 ところで、数年前から、認知症治療薬「メマンチン」がPTSD症状の改善に効果があると言われてきました。メマンチンによる海馬の神経新生を促進する働きにて、嫌な記憶の忘却が促されるそうです。

 PTSD治療では、持続エクスポージャー療法が現在、もっとも有効とされていますが、患者さんの精神的負担が大きいため、すべての患者さんに行えるわけではありません。

 持続エクスポージャー療法に比べるとメマンチン内服は負担が少なく、効果もやや劣るが同等くらいの効果といえます。

心的外傷後ストレス障害の治療におけるメマンチンの有効性 -オープンラベル臨床試験による実証

 

 

 メマンチンのPTSDへの適応拡大が期待されます。

 

 (しかし、PTSDには他にうつ病や不安症、パニック症などとの併発があることが多く、実際は抗うつ薬との併用が必要かもしれません。)


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