先日、急性の腰部ヘルニアを起こし、ご主人に抱えられて来た患者さんがおりました。

やせ形の女性で、床の荷物を拾おうとして咳をした際に激痛が走り、歩行困難となりました。


治療を始めて1か月が経過し、症状もだいぶ落ち着きましたので、今回のヘルニアの原因についてお話ししました。


通常、腰部のヘルニアを起こしやすい人は、ハムストリングス(大腿の後ろの筋肉)がタイトネス(硬い)です。

ハムストリングスが硬いとなぜ腰痛に? (以前、紹介しました)


しかし、今回の方は、小さいころから身体が柔らかかったとのことです。


肘と手首、指の様子などを見たところ、ルーズニング(関節弛緩)が確認できました。


このような方の場合は、運動選手などがトレーニングで身体を柔軟にするのとは違って、コラーゲンの組成の問題で、幼いころから何もしなくても関節がゆるいのが特徴です。


柔らかいので、いいのでは?と思われがちですが、ゆるすぎると捻挫や靭帯断裂なども起こします。


関節が過度に伸展する場合、そのゆるみを守ろうとして筋肉が常に働き、通常の人に比べて疲れやすく、交感神経が高まりやすいとも言われています。


また、椎間板や靭帯のゆるみから関節の動揺性が高まり、今回のように『かがむ+咳』というちょっとした内圧の変化でヘルニアを起こしてしまうこともあるのです。


今後、年齢的にも筋肉の量を落とさないということが重要になりますので、このような説明をさせていただき、治療に併せてリハビリを開始しました。




椎間板ヘルニアとは?

椎間板は線維輪と髄核でできていて、背骨をつなぎ、クッションの役目をしています。その一部が出てきて神経を圧迫して症状が出ます。椎間板が加齢などにより変性し断裂して起こります。

現在は、原因となる遺伝子も同定されつつあります。