LL教材「大失敗談」:負け犬の遠吠え | ニッポンを元気にする英語!

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日系企業で計4回10年超の海外生活を経験(注:その後外資系企業を経て独立起業)する中で、世界における日本のプレゼンスが年々落ちてきていることに強い危機感を覚えています。英語学習に資する情報発信を通し、少しでも日本人の実用英語力の底上げに貢献できれば幸いです。

※「新・旧ブログ」統合に伴う再掲載です。


ある日突然、父が、会社から斡旋されたという「とても高価な英会話学習システム」を買ってきました。確か、リンガフォン製の米語用教材だったと思います。

 

複数トラックのカセットテープが数十巻と、LL機能を備えた録・再生用カセットテープレコーダーとのセットで、父親曰く「少なくとも20万円以上した(ひょっとしたら40万円以上だったかも)」ものです。

 

なにせ40数年前のことですから、当時としてはとても画期的な教材で、ネイティブの録音音声を再生しながら、自分自身の声も録音・再生することにより、両者を比較しながらより正しい発音を身に付けることができるようにデザインされていました。

 

誤解しないでいただきたいのですが、当時の我が家は、父親が製造工場の現場で働く普通の会社員で、かつ、私を筆頭に4人の育ち盛りの子供を抱えていましたので、決して裕福な家庭ではありませんでした。

 

それなのになぜ、そんな高価なものを父親が無理してでも買って来たのか?(もちろん、3年以上のローンでの購入だったはずです。)

 

それはひとえに、中学校に入学して英語学習を始めた私(長子)に、自分が身に付けることが叶わなかった英語をしっかりマスターして欲しいという「親心」からでした。※その約30年後、私が英検1級に合格した時に父親がとても喜んでくれたことを、つい昨日のことのように覚えています。

 

でも、学校で学び始めたばかりの私にとっては、このネイティブ音声が難しいのなんのって・・・

 

教材は簡単で短い「挨拶の交換」から始まっていたのですが、それでもほとんど聞き取れず、もちろん復唱もできずで、一週間ほど頑張ってはみたもののフラストレーションが溜まる一方でした。

 

そんな状況下で、自分の音声をネイティブ音声との比較のために録音することなど、所詮は「無謀な所業」で、最初の数語まで復唱した後は、ひたすら「ワオ~ン、ワオ~ン!」と犬の遠吠えのマネでごまかしていました(爆)。

 

そんなある日、LL教材のことを聞きつけた悪友の一人(注:Sくん)がお父さんに頼まれた(?)か何かで「借りたい」と言ってきたのです。

 

既に私にとっては「無用の長物」となっていましたので、恐らくは二つ返事で貸してあげたのだと思います。

 

そして・・・

 

何日か経過した頃、当のSくんが、他の友達も数名いる前で、大笑いで「LL教材の借用体験記」を語り始めたのです。

 

その時はまだ、私は「自分の学習履歴」を録音したままだったことに気が付いていませんでした。

 

そうです。

 

LL教材に録音された私の「犬の遠吠え」が、「S家の皆さん」によって再生されてしまっていたのでした!

 

消し忘れに気が付いた時には「後の祭り」で、その後しばらくは、私の遠吠えの話題で「S家の食卓」を楽しく賑わせることになってしまいました、とさ(笑)。