テレビで、新しい「鬼平犯科帳」が放送されました。「本所桜屋敷」です。今回のシリーズの、エピソードゼロのような内容でした。
松本幸四郎扮する長谷川平蔵は、そんなに悪くはありません。ただしそれは、あくまでもしぐさや佇まいなどで、決定的に問題なのは、殺陣です。
殺陣に迫力を感じられないのです。松平健扮する、かつての剣術の師匠との斬りあいのシーンなど、愕然といたしました。踊りのようなのです。吉右衛門ならば、骨をぶったぎるような凄みを感じました。
相手が、殺陣の大ベテランである、松平健をしてです。演出の問題なのか、幸四郎の問題なのかはわかりません。しかし、これは致命的です。
平蔵は、火付盗賊改の長官になってすぐ、道場に行って、これから部下になる面々と、剣術の稽古をするのですが、そこでも、稽古のやりとりを、途中でカットするのです。だから、平蔵の強さが伝わってこないのです。
仙道敦子の久栄、火野正平の彦十、本宮泰風の佐嶋、山口馬木也の左馬之助も悪くないだけに、実にもったいないと思いました。
映画の公開に併せて、この作品を地上波で放送したのでしょうが、映画に行く気は、だいぶ失せました。
※些細なことですが、エンディングのクレジットでは、登場人物が、大幅にカットされておりました。スカパーで放送した時のものとは、違うのかもしれませんが、さすがに演者に失礼だと思いました。