近所に我が家が頻繁に通る道沿いに住んでいらっしゃるご家族がいる。

と言っても町内も学区も違うのでお互いに面識はない。


ただ、よく通るので色々目に入るようになった。


最初に意識したのは庭に立派な桜の木がある事だった。春になるとそこだけ満開の桜が咲いていた。

次に気づいたのはその満開の桜の木の下には白い紀州犬に似たワンコがいた。

老夫婦が飼っているようであった。

そのうち老夫婦➕ワンコに小さい子どもが一緒いることが増えた。きっとお孫さんなのだろう。


白いワンコは暑い時はよく桜の木の木陰で寝ていた。雨の日以外は外にいる時間も多い事もあり、白い毛がだんだんと灰色になったりもしていたが、

そのワンコの表情はいつも可愛かった。とても愛されている顔だった。


ここから時系列があやふやだが、しばらくすると老夫婦の家の隣に新家が建った。

きっと老夫婦のお子さん家族が引っ越してきたのだろう。


そして気がつくとあの立派な桜の木は小さく剪定されていた。


またある日、ふと気がつくと白いワンコも見なくなっていた。


ワンコがいなくなって何年経っただろうか。


今日その家に若葉マークの付いた車がとまっていた。


きっとあのお孫さんの車なんだろう。


日々子育てやらなんやらして忙しなく生活しているうちによそ様の子が成人していたことにも驚きだし、よそ様の子が成人する程、今の場所に長く住んでいた事実にもこれまた驚愕である。

もちろん本当のご近所さんにも成人したお子さんは沢山いるのだが、この老夫婦➕ワンコから始まった家族のいとなみが他の家庭よりも何とも時の流れを感じせる。

きっと自分と祖父母を重ねて見ていたところがあるのだろう。


気をつけて車に乗ってね、と思う近所のBBAであった。