雨が木の葉を打つ静かな音が聞こえる。
優奈はゆっくり瞼を開いた。
見慣れた部屋は夜闇に沈み、降る雨のぱたぱたという控えめな音が部屋に浸透していく。
幾度か瞬きをした後、ゆっくり身を起こす。
オフホワイトのカーペットを敷いた床には、鞄とスカーフが転がっていた。ふと見ると、外出した服のままでベッドに横たわっている。
えぇと、どうしたんだっけ?そうだ、仕事から帰ってきて、あんまりくたくただったから、ベッドに横になって。
そっか、眠っちゃったんだ・・・。
長い髪を無造作にまとめながら、ベッドを降りる。
時計は9時53分を指していた。
少し開いた窓からは、湿気を含んだ冷たい夜気が流れ込んでいる。もう7月になるというのに、雨の夜は少し肌寒い。
シャワーを、浴びたい。それから、何か食べなきゃ。
無意識に、冷えた体を両腕で抱きながら、窓を閉め、水玉模様のカーテンを引く。
その時、床に放り投げられた鞄の中で、携帯電話が鳴った。