競輪やオートレースを運営する「JKA」は20日、女子競輪「ガールズケイリン」を目指す日本競輪学校の合格者を発表し、福井県勢で初めて梅田夕貴さん(26)=大野市南春日野=が合格した。かつて福井市のキャンペーンレディー「お市の方」準グランプリに輝き、金沢大大学院を修了した才女。競技歴1年半、2度目の入学試験挑戦で夢のスタートラインに立った。「福井から後に続く女子選手が出てくるよう、トップ選手になりたい」と意気込んでいる。
2006年~07年の「お市の方」だった学生時代に、福井競輪不死鳥杯で花束贈呈したのがきっかけ。ファンとして競輪場へ通ううち、あこがれが目標に変わり、昨年7月から日本競輪選手会福井支部の鷲田佳史選手(S級2班)に師事してきた。
中学時代は軽音楽部、高校では野球部マネジャーと「運動とは無縁の人生」(梅田さん)だったが、167センチと長身で手足が長くニューバランス ランニングシューズ「自転車の乗り方は最初からきれいだった」(鷲田選手)。わずか3カ月後の1次試験では、合否を大きく左右する1000メートルのタイムで、合格ラインまであと4~5秒に迫った。
男子選手に交じり毎日午前4時から100~120キロ以上走る自転車漬けの生活。お市の方に選ばれたスリムな体形も、ラーメン鉢で白米を食べて15キロ増量した。タイムが伸びず不安を抱えた春先を乗り越え、5月に前年の合格ラインを上回る1分23秒台を記録。10月の試験前には目標だった1分20秒台に達した。
男子同様に厳しく接してきた師匠の鷲田選手は「素人から短期間でこれだけ記録を伸ばせたのはすごい。理解力が高く、目標に対し計画的に取り組めるところはプロ向き」と称賛。ただ、コンマ数秒の世界でしのぎを削るトッププロの厳しさは伝えている。
合格に「師匠はじめ福井支部の皆さんが辛抱強く指導してくれたおかげ」と感謝する梅田さんも「課題は上半身強化とダッシュ力。体重もまだまだ増やさないと」と自覚は十分だ。
来年5月に静岡の競輪学校に入学し、約10カ月間練習を積んだ後、デビューする。福井支部から女子選手が誕生すれば、福井競輪場でガールズケイリニューバランス 574ンが初開催される可能性があり、華やかな女子レーサーがバンクを疾走する姿が福井でも見られそうだ。