岡田克也外相は21日、来日したクリントン米国務長官と外務省飯倉公館で会談した。韓国が哨戒艦沈没事件を北朝鮮の魚雷攻撃と断定したことを受け、韓国の立場を支持し、日米韓3国が緊密に連携して北朝鮮への圧力を強めることで一致した。一方、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題を巡っても、月内の政府の対処方針発表に向け、双方が協力していく方針を確認。政府にとって日米同盟の重要性をアピールする格好の機会となったが、対米協議を優先する姿勢には、与党内や地元から反発も上がっている。

 ◇普天間、協力を確認

 会談後の共同記者会見で、クリントン長官は「北朝鮮のやり方は許せない。国際的な対応が必要だ」と強調。「北朝鮮に誤解の余地のないメッセージを発する」と述べ、1週間以内に対応を決定する考えを示した。

 会談ではウラン濃縮を続けるイランの核問題についても懸念を共有。岡田氏は新たな国連安保理決議に向け、日本が積極的な役割を果たす考えを表明し、クリントン長官も核不拡散で日本と協力していく方針を示した。

 外相会談後、クリントン長官は首相官邸で鳩山由紀夫首相と会談、首相は「こういう時こそ、日米同盟に基づき信頼関係を強化していくことが大切だ」と語った。

 ◇足並み強調…一方で移設の早期解決迫る

 米中戦略経済対話のための訪中前に急きょ来日を決め、滞在4時間の強行日程をこなしたクリントン長官。岡田外相は共同会見で「東アジアの不安定性が顕在しつつあり、日米同盟の重要性が増している。重要かつ時宜を得た会談だった」と評価。クリントン長官も「北朝鮮の脅威は日本に対する脅威でもある」と同調した。

 一方、普天間問題については、21日も外務省で日米審議官級協議が開かれ調整が続いたが、移設先を米軍キャンプ・シュワブがある「沖縄県名護市辺野古周辺」と明記するなど、日米共同声明の内容を巡って合意には至らなかった。

 こうした状況を踏まえ、クリントン長官は「基地のある地域へのインパクト(影響)を最小限にとどめたい」と沖縄の負担軽減に配慮を示す一方、「米国は日本の防衛に強い決意を持っている。問題解決に期待している。米軍の運用条件を満たし、政治的にも実現可能な解決策を見つけたい」と強調した。日米同盟重視の姿勢をあえて示したうえで、普天間問題の早期解決を迫った形だ。

 ただ、首相の再訪を23日に控え、沖縄や社民、国民新両党の「日米合意先行」に対する反発は強まる。「いかなることがあっても『辺野古周辺』は撤回してほしい。首相は『県外、国外』を実行すべきだ」。民主党沖縄県連代表の喜納昌吉参院議員は21日、国会内で記者会見し訴えた。県選出国会議員が超党派で首相に申し入れようとしたが面会がかなわず「抗議」の意味で開いたものだった。喜納氏はこの後、北沢俊美防衛相や民主党の小沢一郎幹事長とも会談。23日の首相訪沖時には直接伝える意向だ。

 社民党の重野安正、国民新党の自見庄三郎両幹事長は21日、首相官邸で平野博文官房長官に会い「地元や連立3党の合意なく日米共同声明を行うことは認められない」と主張。政府対処方針を与党党首級の基本政策閣僚委員会に諮った上で閣議決定するよう求めた。【野口武則、西田進一郎】

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