不適切ではあったが 更迭には値しないと思う
思っていることを話せないような世の中になることの方が心配
石破茂首相は20日、「コメを買ったことはない。売るほどある」などと発言した江藤拓農相を辞任させる検討に入った。政権幹部が明らかにした。コメの不足と価格高騰に歯止めがかからない中、担当閣僚として不適切な発言だとして与野党から批判の声が出ていた。
昨年10月に発足した石破政権で、不祥事による閣僚辞任は初めて。内閣支持率の低迷が続き、7月の参院選を控えて反転攻勢の兆しが見えない中、政権に打撃となるのは必至だ。
江藤氏の発言を巡っては、立憲民主党の野田佳彦代表が20日の党会合で「(江藤氏は)その任にあらずだ。(21日の)党首討論で厳しく任命者にも問いただす」と追及する考えを表明した。その後、立憲、日本維新の会、国民民主など野党5党の国対委員長が国会内で会談し、退任を求める考えで一致。首相らが退任の判断をしない場合、農相不信任決議案の提出も検討することを確認した。
衆院では野党が過半数を占め、提出されれば可決される可能性が高い。閣僚不信任決議に法的拘束力はないものの、国会審議など政治的影響は大きいため、与党内にも辞任は不可避との声が出ていた。
石破政権はこれまで少数与党の下でも、当初予算審議で一部野党の要求を受け入れるなど、野党を分断させる戦略が奏功してきた。だが、今回は野党が結束して辞任を求める状況となり、抗することができなくなったとみられる。
江藤氏は18日の佐賀市の講演で「私もコメを買ったことはありません。支援者の方々がたくさんコメをくださるんですね。まさに売るほどあります」と発言。「大変なんですよ、もらうのも。石とか入っているんですよ」とも語った。
江藤氏は2019年に第2次安倍政権の農相として初入閣。昨年衆院選で農相だった小里泰弘氏が落選したことを受け、再登板した。衆院宮崎2区選出で当選8回。父の故隆美氏は自民党衆院議員で総務庁長官を務めた