本当に久し振りに長野県小布施町のワインメーカー、小布施ワイナリーが醸している日本酒をまとめて取り寄せて、飲み比べをしました。
2本目はこれです。
小布施ワイナリーの蔵元の曽我彰彦さんは果てしなく能書をたれるのがお好きの方で、裏貼りに書かれている文字数は年々増えて、それに比例して字が小さくなり、健常者でも虫メガネがないと読めない事態に陥っています。
写真でも読めないと思いますので、個別に分析しながらご紹介します。
共通能書は総合前文の次にこうあります。
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当方の全商品
① ブルゴーニュワイン的「単一品種」思想により、長野県産美山錦のみ使用
② 我々が70年ぶりに復活させた旧協会1~5号酵母、培養酵母を入れぬ古典生酛、戦前発見の6号酵母のみで発酵
③ 生酛のみ
④ 炭、アルコール、酵素、培養乳酸菌、培養硝酸還元菌、無機塩類無添加
⑤ 衛生管理の上、ワイン設備を共用
⑥ 本業の名を貶めぬ「SAKE」を醸す
⑦ 香味はワインに迎合せず
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米は当初から美山錦で変わっていません。
酵母は当初は協会7号でしたが変わりました。
当初は速醸でしたが、完全自然派を目指して生酛ですべての助剤不添加で、これは結果的に新政酒造と同じ方向です。
そして、2本目のお酒のコメントは以下のようでした。
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農薬不使用米 収量制限米
1号2号3号4号5号6号酵母と自然界菌の混交発酵。
田幸さよ子女史栽培農薬不使用米
私の最終目標は現代人にも美味しい無農薬米かつ自然酵母発酵のsake。
微生物混交発酵は自然発酵の醍醐味の一つ。
これは自然酵母発酵への前哨戦。
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2016BYのソガのお酒で田幸さんの米を使った際の曽我さんのコメントは以下の通りです。
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田幸さよ子作による無農薬美山錦単独ロット。
彼女とは農業以外の思想や哲学がまったくソリが合わず会えば激論を交わす間柄。
変人女史とは腐れ縁。
ただ「類は友を呼ぶ」と周りからは陰口を叩かれている我々。
唯一、彼女の強い信念と行動力には敬服。
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1本目の同じ、協会1~6号酵母混交、美山錦は無農薬栽培、70%精米の生酒です。
玩味すると中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面に打ち粉を振って、サラサラな感触を強調しながら、まっしぐらに駆け込んできます。
受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散して、適度な大きさのウエットな粒々を連射してきます。
甘味はザラメ糖系の粘りのあるタイプ、旨味はシンプル無垢でさらりとした印象で、両者は鍛え上げられた筋肉の世界を描きます。
流れてくる含み香は酒エキスの香りに薬っぽさがミックスされて。
味わいは終盤までバランスを崩すことなく、よりすっきりとした世界を描き切るのでした。
それでは、小布施ワイナリーの今季の日本酒、3本目をいただくことにします。
銘柄名「ソガペールエフィス リアサケナチュレル 田幸米 生酒 2023BY」
酒蔵「小布施ワイナリー(長野県小布施町)」
分類「純米酒」「無濾過酒」「生酒」「原酒」
原料米「無農薬栽培美山錦」
使用酵母「協会1~6号酵母」
精米歩合「70%」
アルコール度数「16度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「750ml=1800円」
評価「★★★★★(7.6点)」