自宅の晩酌にお酒を選びました。
これです。
「帆波(ほなみ)純米吟醸 無濾過原酒」。
富山県魚津市の魚津酒造さんが醸しているお酒です。
1925年創業の本江酒造はずっと宮内家の家業として続いてきましたが、日本酒低迷の時代にじり貧となり、日本酒に緩やかな追い風が吹いて来た2010年以降も赤字が続いたため、日本酒酒蔵の再建を得意とする田中文悟氏が率いる日本酒キャピタルに2022年春に身売り(事業承継)をしました。
田中氏は社名を魚津酒造に切り替え、より、わかりやすい地酒蔵としての変身をアピールするとともに、小仕込み、特定名称酒の蔵としての再建を図ることにしました。
杜氏には隣町の黒部市で酒を醸している皇国晴酒造の杜氏だった坂本克己氏を招いて、2022BYから新体制で酒造りを始めています。
田中文悟氏は全国各地の酒蔵の再生を手掛けており、今回も従来のブランドは地元向けと問屋流通として維持する一方で、新たに特約店限定流通の銘柄として「帆波」を立ち上げています。
今夜、いただくのは、秋田県産美山錦55%精米の純米吟醸、無濾過原酒です。
上立ち香は明快なフレッシュな麹バナの香りがしっかりと。
口に含むと中程度の大きさの旨味の塊が、平滑になった表面にうっすらととろみ層を乗せて、流麗な雰囲気で忍び入ってきます。
受け止めて保持すると、促されるままに素直に膨らみ、拡散しながら、適度な大きさのガラス球様の粒々を速射してきます。
粒から滲み出てくるのは甘味8割、旨味2割。
甘味はザラメ糖系をベースに蜂蜜のニュアンスを加えたタイプ、旨味はシンプルながら、しっかりとしたコクを感じる印象で、両者は足並を揃えて、適度な艶を放ちながら踊ります。
流れてくる含み香はとろっとした高級ゼリーの香りでデコレート。
後から酸味と渋味が少量現れて、薄氷の輪郭を付与。
甘旨味は終盤まで成熟した世界を描き切るのでした。
手堅く、高貴な仕上がりになっております。
今後が楽しみです。
お酒の情報(23年140銘柄目)
銘柄名「帆波(ほなみ)純米吟醸 無濾過原酒 2022BY」
酒蔵「魚津酒造(富山県魚津市)」
分類「純米吟醸酒」「無濾過酒」「原酒」
原料米「秋田県産美山錦」
使用酵母「不明」
精米歩合「55%」
アルコール度数「15度」
日本酒度「不明」
酸度「不明」
情報公開度(瓶表示)「△」
標準小売価格(税込)「1800ml=3980円」
評価「★★★★★(98点)」