それぞれの冬② 大阪・ファミリーファーム 「なにわの伝統野菜」 天王寺蕪

 


大阪は 江戸時代「天下の台所」と呼ばれたように、古くから食文化が栄え、その食文化を支える大阪独特の野菜が多数ありました。 しかし、生活環境の変化に伴い地域独特の歴史や伝統を有する野菜が消えていきました。それらを 「なにわの伝統野菜」として復活シリーズ。

野沢菜のルーツは天王寺蕪
1756年(宝歴6年)、健命寺の住職、晃天園瑞(こうてんえんずい)和尚が、京遊学の土産にと天王寺蕪の種を持ち帰ったことに始まります。種を寺内の畑にまいたところ、野沢温泉の気候と土質が影響して蕪は育たず、代わりに葉や茎の部分が巨大に成長して野沢菜が誕生しました。 
 

大阪市天王寺付近発祥の伝統品種である。切れ葉と丸葉のタイプがあり、根身は純白で扁平。

 

地上部に浮き上がるため、「天王寺浮き蕪」ともよばれる。「摂陽群談」などにも「形平均(ひらたく)大にして草葉少し味甚甘くして如も軽和(かろくやわらか)なり。乾蕪として諸国に送る。

 

西成郡木津、今宮の辺住吉郡に懸て作得たりと云えども皆天王寺蕪の名を以て市店に所商之也」との記録があり、「名物や蕪の中の天王寺」と蕪村に詠まれているほどである。天王寺付近で栽培された蕪は今宮、木津、さらに住吉の依羅地区から大和川沿いに栽培がその後広がっていったが、大正に入り、とがり蕪の出現によりその生産は減少していった。

 

天王寺蕪の含め煮

蕪と薄揚げの煮物。果肉は緻密でやわらかく、風味は格別です。


天王寺蕪の浅漬け

蕪の部分も葉っぱの部分も異なる食感で美味。

 

 

次週は それぞれの冬③ 大阪・ファミリーファーム「なにわの伝統野菜」碓井豌豆(うすいえんどう) ・・・