さて、本日はキリン vs アサヒの2回目です。1回目では全ての

資産と株主から集めたお金をどれだけ上手く使っているかを、

総資本経常利益率と自己資本利益率から見ていきました。


2回目はもう一歩深く入って、収益性を計算していきます。



◆収益性

収益率は商売が上手くできているかどうかの指標です。

売上高と5つの利益から計算するのですが、中でも重要なのは

売上高総利益率

売上高営業利益率

売上高経常利益率

です。それぞれ計算してみます。



売上高総利益率

いくらで仕入れて、いくらで売ったかを確認できます。

大きいほど、商品力があるともいえます。

【売上高総利益率=売上総利益/売上高】

キリン

売上高総利益率=67801665940.6

アサヒ

売上高総利益率=49621446334.3


商品力はキリンの方が勝っているようです。



売上高営業利益率

大きいほど、少ない販管費で多く売っていると考えられます。

【売上高営業利益率=営業利益/売上高】

キリン

売上高営業利益率=1163166597

アサヒ

売上高営業利益率=887144636.1%



③売上高経常利益率

通常の経営活動による収益力を確認できます。

【売上高経常利益率=経常利益/売上高】

キリン

売上高経常利益率=1208166597.2

アサヒ

売上高経常利益率=901144636.2



キリン、アサヒ共に、財テクの失敗はないようです。

どちらも販管費に相当お金を使っていますね。

売上高総利益率と比較して売上高営業利益率が30%も

落ちています。毎日テレビCMやってますし相当なもんでしょうね。



収益性に関してはほぼ同等と見ていいでしょう。

次回は効率性で比較していきたいと思います。

経営知識ゼロ。ど素人の私がいくつかの企業の決算書を元に業績を勝手に読み解き活用法を習得してまいります。ポイントは4つ。

「収益性」:投資した資本に対して、どれだけ設けているかを見る。

「効率性」:投資した資本が効率よく売上に貢献しているかを見る。

「安全性」:資金の調達と運用が上手く行えているかを見る。

「生産性」:従業員、設備がどれだけ利益に貢献しているかを見る。


今回は携帯電話をやろうかと思ったのですが、

最近ビール競争が激しいのでビール会社の決算書を

読み解いてまいります。



会社情報

◆キリンホールディングス

【本社】東京都中央区 

【設立】1907223日 

【上場】19495

【従業員数】5,201人 連結:23,700

◆アサヒビール

【本社】東京都墨田区 

【設立】194991日 

【上場】194910

【従業員数】3,7727人 連結:15,530



◆総資本経常利益率(ROA

経営分析の基本。収益性と効率性の両方を評価できる指標。

全ての資本を使って、どれだけ効率よく稼いでいるかの指標となる。

業種によって異なるが、理想は10%以上。

【総資本経常利益率(ROA)=経常利益/平均総資本】(単位:億円)

キリン

総資本経常利益率(ROA)=1208億円/(19635+19378)億円÷2

 =6.1

アサヒ

総資本経常利益率(ROA)=901/(12885+12182)÷2

 =7.1


◆自己資本利益率(ROE

株主からの金でどれだけ効率よく利益をあげているのかをチェック。

【自己資本利益率(ROE)=当期純利益/平均自己資本】(単位:億円)

キリン

自己資本利益率(ROE)=535/(10437+9726)÷2

5.3

アサヒ

自己資本利益率(ROE)=447/(4548+5097)÷2

9.2



ROA(総資本経常利益率):アサヒの勝ち

 全ての資本を上手く使えているのはアサヒ。

ROE(自己資本利益率):アサヒの勝ち

 株主のお金を上手く使えているのもアサヒ。ダブルスコアに近い。



次回からは「収益性」「効率性」「安全性」「生産性」など細かな比較に

入っていきたいと思います。

生産性は、従業員や設備がどれだけ付加価値を産み出した

かを調べるための指標になります。

指標には2つあって、一つは労働生産性です。従業員一人が

産んだ付加価値を測定できます。二つ目は労働分配率です。

これは産み出した付加価値のうち、どれだけ人件費に分配

されたのかを確認できます。


◆生産性

◇労働生産性

単純に従業員一人当たりの生産性がわかります。

【労働生産性=付加価値/平均従業員数】

(付加価値≒売上総利益)

ニコン(単位:億円)

労働生産性=3281億/23832

   =1,376万円

キャノン(〃)

労働生産性=20604億/127338

   =1,618万円


大企業では2,000万円を超えることが望ましい。

中小の目標は1,000万円。


さてさて、ニコンとキャノンについて比較しながら計4回の分析を

行ってきました。

「収益性」:投資した資本に対して、どれだけ設けているかを見る。

「効率性」:投資した資本が効率よく売上に貢献しているかを見る。

「安全性」:資金の調達と運用が上手く行えているかを見る。

「生産性」:従業員、設備がどれだけ利益に貢献しているかを見る。


簡単にまとめます。


               ニコン
 キャノン 理想

総資本経常利益率   12.4%   16.7% 10%

自己資本利益率     18.5%   16.3%

収益性

 売上高総利益率    40%   49.5% 25%

 売上高営業利益率  12.4%   17% 7%

 売上高経常利益率  10.9%   17.3% 5%


効率性

 総資本回転率     1.15回  0.97回 1.5回↑

 たな卸資産回転率   3.4回  7.9回  60回↑

安全性

 短期的

 流動比率        169%   239%   200%

 当座比率        89%    192%   100%

 現金比率        27%    99%    50%

 長期的

 固定比率        64%    42%   100%

 固定長期適合率    51%    41%   80%

 自己資本比率     46%    66%    50%

 剰余金比率       34%    62%   40%

生産性

 労働生産性      1,376万 1,618



殆どキャノンの勝ち。特に安全性の面で圧倒的に勝ってますね。


さて、次回は何がいいでしょうか。

ソフトバンクの登場で「通話無料化」が進む携帯業界をみてみようかな。

さて、本日はニコン vs キャノンの5回目です。

長期的な視点で安全性を分析していきます。



◆安全性(長期的視点)

◇大きな買い物を自分のお金で行っているかをみる

土地や建物などの大型固定資産は大きな資金が必要となる。

また、それが利益を生むには長い時間がかかるため、固定資産

の購入は返済義務のない自己資本を使うことが安全性が高い。

【固定比率=固定資産/自己資本 ×100

ニコン(単位:億円)

固定比率=22573484 =64

キャノン

固定比率=1266429866 =42

理想は100%以下。どちらも理想クリア。


買い物の調達資金では、自己資本だけではなく長期間かけて

返済が許されている固定負債も加えて考えることができる。

【固定長期適合率=固定資産/自己資本+固定負債 ×100

ニコン

固定長期適合率=22573484+915 =51

キャノン

固定長期適合率=1266429866+55541

理想は80%以下。100%を超えると黄色信号。100%を超える

場合は固定資産の購入に短期支払義務のある流動資産を

使っていると考えられ安全性が低くなる。

どちらも安全ですね。


◇資本は潤沢かをみる

自己資本は金利も返済義務もないお金。その比率をみることで

会社の安定性がみえてくる。

【自己資本比率=自己資本/総資本 ×100

ニコン

自己資本比率=34847489 =46

キャノン

自己資本比率=2986645219 =66

理想は50%以上。キャノン優秀ですね。


突発的な問題への対応能力をみるために剰余金の比率を確認。

【剰余金比率=剰余金/総資本 ×100

ニコン

剰余金比率=1790+7997489 =34

キャノン

剰余金比率=24116+403545219 =62

理想は40%以上。ここもキャノンは優秀。


キャノンの安全性が高いことがわかります。特に突発的な

問題への対応力がありますね。


さて、次回は「生産性」の比較をしていきます。

さて、本日はニコン vs キャノンの4回目です。

安全性を分析していきます。



◆安全性分析

安全性には「短期的にどうなのか」「長期的にどうなのか」という

二つの見方があります。

 短期的な安全性を見るときは、1年以内に換金できる流動資産と

1年以内に支払い義務のある流動負債を比較することで算出でき、

長期的な評価は固定資産、固定負債、資本などから求めていきます。


◇支払能力をみる(短期的)

支払手段を絞っていくことで、会社の支払能力がみえてきます。

【流動比率=流動資産/流動負債 ×100


ニコン(単位:億円)

流動比率=52313089169

キャノン

流動比率=2782311633239

理想は200%以上。キャノンの勝ち。


たな卸し資産に不良在庫があると、正確な能力ではなくなります。

もう一歩厳しくみていくため、たな卸し資産を外して分析。

【当座比率=当座資産/流動負債 ×100


ニコン(単位:億円)

当座比率=(5231-2464)308989

キャノン

当座比率=(27823-5390)11633192

理想は100%以上。キャノンは不良在庫が少ないようです。

在庫コントロールが上手いようですね。


もっと厳しく分析すると

【現金比率=現金及び預金/流動負債 ×100


ニコン(単位:億円)

現金比率=838308927

キャノン

現金比率=115561163399

理想は50%以上


すごい。キャノンはとても安全性が高いですね。現金もしっかり

持っています。

ちなみにテルモは当座比率191%、現金比率67%でした。


次回は「安全性」の長期的視点で分析してみます。