飯山陽 著

 

イスラム思想研究者として日本が世界に誇れる人。麗澤大学客員教授。YouTubeチャンネル登録者数、約17万人。ツイッターフォロワー数、約27万人。様々なメディアに寄稿し、著作もすごく売れている。新作の「ハマス・パレスチナ・イスラエル」は発売前から重版が決まり大阪ジュンク堂などでベストセラーとしてディスプレイされた。以前は中東で何か問題が起これば、人々が手に取る本は池上彰のものだったそうだが彼の化けの皮もだいぶ剥がれた。他の中東専門家など学会では尊敬されているようだが一般の人は知らない。今はイスラム教、中東といえば飯山先生だ。

 

2011年から2015年にかけて旦那様と小さなお嬢さんとでエジプトに暮らし、育児・家事と研究に奮闘された。道を歩けば上からベランダが降ってきたり、イスラム過激派の大物にインタビューしたり、治安悪化で碌に外出できないことも。苦労多いが工夫を楽しみご近所で助け合う。お嬢さんの生涯の親友はエジプト人の女の子だそうだ。

 

イスラム教における女や異教徒に対する差別はひどい。女一人でいれば危険な目にあうこともあるという。しかし赤ちゃんを連れた飯山先生にエジプト人はとても優しかったそうだ。子供を守らなければと気を張っていたが、自分こそ子供に守られていると思ったとのこと。印象深い。

 

「アラブの春」ー 春だの民主化だのという言葉から何となく良いイメージを持ちつつ、物騒な事ばかり聞こえてくるのでモヤモヤしたままだった。「民主化」「自由」という同じ言葉でもイスラム教徒と日本や欧米の人が考えるものは違う。飯山先生の説明ですっきり分かる。

 

飯山先生は日本人にイスラム教の真実を教えなさいと神様に選ばれた人のような気がする。また伸び伸びと育っているお嬢さんも、世界と渉り合う女性になりそうだ。